ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

内見案内中の強盗事件で昨年に続き容疑者が逮捕 不動産業界はどう対応するか(2/2ページ)

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

対応策は? なかには実現が難しいものも 

この横浜の事件は、多くの賃貸仲介会社や管理会社にショックを与えた。警察署員に講師を依頼、同様の被害を防止するための研修を行う会社もその後出てきている。そこで、警察からはそれらの会社に対し、次のようなアドバイスが行われている。

・内見前に、免許証など客の身分証を確認する
・内見を案内する従業員には防犯ブザーを携帯させる
・同じく、現金や貴重品を持たせないようにする
・内見中は、外に声が届くよう物件の玄関ドアなどを開けておく
・案内に使う車の中や店舗に防犯カメラを設置する
・客と従業員が2人きりにならないように、できれば複数人で案内する

これらを全て行っている会社はもちろん少ないだろう。特にハードルが高いのは、最後の項目だ。「複数で案内をする」は、決め手の対策といえるが、どの会社も容易に実行できるというものではない。それでも、昨年に続いての今回の事件を受け、多くの会社が従業員を守るための方策をこれから講じていくものと思われる。

仲介関係者から聞いているなかには、「今後、女性の従業員には1人で内見案内をさせない。必ず男性従業員とペアを組ませる」というものもある。

しかしながら、そうしたくとも人手が足りず、常時それができない現場では、女性はいわば使い勝手の悪い存在となってしまう。ともすれば、活躍の場を失うことにもなりかねない。加えてそうした状況では、人材採用の面でも女性を選びにくくなるという悪い影響が出かねない。安全のため致し方ない判断ではあるものの、実に残念なことというほかないだろう。

なお、今回の江東区の事件では、容疑者の1人は、「女性の多い不動産店舗を選んで犯行に及んだ」旨、供述しているという。なんとも腹立たしいかぎりだ。

賃貸住宅オーナーが内見に立ち会うことで防犯

ところで、仲介・管理会社だけではない。物件の持ち主である賃貸住宅オーナーも、この件については関わりの深い立場にいる。

いうまでもなく、物件が今回の江東区や昨年の横浜のような事件の現場となり、その結果、万が一悲惨なことが起これば(すなわち、事故物件化すれば)、オーナーはそれによって甚大な被害を受けかねないということだ。

つまりこの問題は、仲介会社や管理会社だけが抱え込むべきものではない。オーナーとそれら会社側が手を携え、工夫し合って対処していくことが重要な案件となっている。

例えば、例は少ないが、内見の際にその場に立ち会い、入居希望者へ物件について説明するオーナーもいる。主な目的はPRであり、入居者の獲得だが、実は防犯面でも効果のあるやり方なのだといえるだろう。

よって、こうしたオーナーが少しずつでも増えれば、さきほどの「女性の活躍の場が失われる」問題についても、ほんのわずかながらこれを抑制する力となっていくことも考えられる。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン『ウチコミ!タイムズ』では住まいに関する素朴な疑問点や問題点、賃貸経営お役立ち情報や不動産市況、業界情報などを発信。さらには土地や空間にまつわるアカデミックなコンテンツも。また、エンタメ、カルチャー、グルメ、ライフスタイル情報も紹介していきます。

ページのトップへ

ウチコミ!