ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

春になると自殺者が増える!?――薬を使わずメンタルを整えるためによい方法は(2/3ページ)

遠山 高史遠山 高史

2021/03/23

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

スポーツジムは「適度な運動」に足りない?

予防策としては、規則正しい生活をし、適度な運動をするということにつきる。下手な投薬よりずっと効果的なのだが、忙しい現代人にはなかなか支持されないのがつらいところである。

外来でよく、軽く運動をするようアドバイスをするが、「ジムに通っている」と返されることもしばしばある。が、ジムでは不十分だと思っている。

自律神経を適切に機能させるためには「外」がいい。会社帰り、深夜に蛍光灯の下でトレーニングするよりも、太陽の光を浴びて、田舎道を散歩する方が生物として自然である。

個人的には、特に農作業をおすすめしたい。数年前から、農園を運営している。引退した農家の知人から借り受けている土地で、季節の野菜を栽培しているが、土に触れていると、それだけで気分がいい。

土いじりに、抗ストレス作用があるというのは以前から知られていたことであるが、最近、土壌に生息する細菌には、抗炎症や免疫調節などにも効果があることが確認されたそうだ。

実際、畑で土を耕していると、些細な悩みなどはどうでもよくなってしまう。野鳥が虫を追うのを見るのも楽しい。何より、農作業で身体を動かした後は、ほどよく疲労していて、よく眠れる。

昔の人は意識せずとも土と共にあったから、わざわざ土壌菌は健康にいいぞ、というようなことを説明する必要はなかったし、春先に鬱々とすることも、なかったのではないだろうか。

次ページ ▶︎ | ベランダでもできるメンタルヘルス

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

精神科医

1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒業。精神医療の現場に立ち会う医師の経験をもと雑誌などで執筆活動を行っている。著書に『素朴に生きる人が残る』(大和書房)、『医者がすすめる不養生』(新潮社)などがある。

ページのトップへ

ウチコミ!