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牧野知弘の「どうなる!? おらが日本」#18 アフター・コロナで躓く オフィスビルマーケット(5/5ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2020/10/16

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単純な事業企画の方程式は成り立たない

ポスト・コロナ時代は多くのオフィスで集中から分散へと流れが変わってくる。賃料についてもこれまでは丸の内や大手町ならば坪5万円、六本木なら4万円など、ビルオーナーは、立地さえ確保すれば賃料は自動的に決定されるものと考えてきた。だからそうした土地をまず押さえることがビル業の第一歩だった。

三菱地所が丸の内や大手町を、三井不動産が日本橋を、森ビルが六本木を手放さないのは、その地を押さえていることにオフィスとしての価値があったからだ。

しかし、これからはオフィス立地についてそれほど単純な方程式は成り立たなくなってくる。都心部の良い立地に土地を押さえれば、まずはオフィスにして坪あたり賃料5万円とって事業は成立、あとは容積率の割り増し分でホテルや美術館を組み込んで、はい出来上がりといった単純な事業企画では勝負が難しくなってくるのだ。

ポスト・コロナはオフィス大変革時代の幕開けなのである。


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この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

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