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東京都(港区) 創業寛政三年『芝大門 更科布屋』 江戸の歴史と伝統を蕎麦で守り続ける(2/3ページ)

ねこやま大吉ねこやま大吉

2021/08/17

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創業寛政三年『芝大門 更科布屋』

江戸そば御三家「藪」「更科」「砂場」。ラーメンの“○○系”と同じでこれらは、蕎麦店の系統で江戸の街で営んでいた各店の呼び名。人呼んで、「江戸三大そば」「江戸そば御三家」。現在も、暖簾分けしたお店が看板に掲げている。そんななか、芝大門にはその御三家の「更科布屋」がある。創業は寛政三年(1791年)と230年もの歴史があり、七代目布屋萬吉氏がその暖簾をしっかり守っている。更科の後の布屋とは店主の名前だったとは知らなかった。

更科布屋の製粉は機械式ローラーを使うことなく人の手により丁寧に石臼を挽いている徹底ぶり。職人の経験と技が蕎麦の風味や色を余すことなく本当に旨い蕎麦を食べさせてくれるはず。店頭の提灯にも書いてある「御前そば」。真っ白なそれは蕎麦の実を挽いた際、最初に出てくる胚乳のみを集めた貴重な「一番粉」を使って打つことにより、色のある甘皮が混ざらない中心の芯部分だけを使い、純白で透き通る蕎麦ができあがる。

時計を見ればブルーインパルスも基地に戻った頃。今日は更科そばを食することにする。

そば味噌――赤味噌をベースに蕎麦の実と胡桃がふんだんに入っている。ピリッと舌を刺激する薬味が味噌を引き立て風味豊かで食感も楽しめる。「令和の禁酒令」下で酒は呑めないが、日本酒と合うのは間違いなさそうだ。

鳥焼――焼鳥ならぬ「鳥焼」。初見はつくねかと思いきや鳥肉をスライスさせ、甘辛たれでさっと焼いてある。付け合わせのピーマンもいい火の通り具合で旨い。鳥本来の旨味が口の中で広がる。焼鳥のようにたれを付けて何回か火の上に置くのでなく、焼きあがったものに後付けでたれをのせているからジューシー感がたまらない。

季節野菜天盛合せ――椎茸・玉ねぎ・蓮根・茄子・ピーマン・南瓜・エノキ。季節野菜が編隊で揚がってくる。衣はカリっと、野菜は本来の味が損なわれることなく素材がよく生きている。どれも旨いのだが特に南瓜は噛みしめるほど甘みが追っかけて来る。やはり揚げたて、蕎麦屋の天ぷらは間違いない。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

長年出版業界に従事し、グルメからファッション、ペットまで幅広いジャンルの雑誌を手掛ける。全国地域活性事業の一環でご当地グルメを発掘中。趣味は街ネタ散歩とご当地食べ歩き。現在、猫の快適部屋を目指し日々こつこつ猫部屋を制作。mono MAGAZINE webにてキッチン家電取材中。https://www.monomagazine.com/author/w-31nekoyama/

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