中央区道頓堀(大阪市) 大阪の商人が守り続けてきた歴史と味 創業弘化元年 老舗「たこ梅」の関東煮(2/2ページ)
ねこやま大吉
2020/02/01
関東煮の主役は「鯨」
コの字のカウンターに陣取り、まずは喉を潤し五感を整える。スタッフの会話を聞き、普通の話が面白可笑しく聞こえるのはなぜだろうと一人笑いを堪えているところに、だいこん・たまご・ひら天、そして「鯨すじ」が出てくる。
鰹ベースの出汁は長年継ぎ足され、毎日炊くことにより色んなタネの出汁が出ているのか、ほんのり甘い。あれだけ炊いているのに、どのタネも崩れず旨味を溜め込んでいる。
「だいこん」 ―― 繊維まで柔らかく元々の水分が 出汁と完全に入れ替わり味が染みている。
「たまご」―箸で割るとほくほくした黄身が顔を 覗かせる。出汁の甘みとたまごの味が絶妙だ。
「ひら天」――練り物なのに実にあっさりしている。
「鯨すじ」――大阪でしか出会うことのないタネ。 塩抜きなど仕込みに10日はかかるという逸品。
噛めば噛むほどに口の中で旨味が広がる。鯨は初めてと店主に相談すると、たこ梅お勧めの 「鯨の塩たん」が。
鯨のたん元を、すじと同じく丹念に仕込んだ逸品。牛タンと同じような品かと口に入れると、噛みきれないほど弾力があり、噛めば噛むほど味が出る。別名「さえずり」。それを食べる客人がガムを噛むようにくちゃくちゃと音を立てて いるのを、まるで歌を唄っているようだということで命名されたようだ。ちなみにこの「さえずり」、たこ梅の登録商標になっている。
気付けば店内外に次のお客さんが待っている。あともう一品食べたいところだが、陣取った席を楽しみにしている人に譲ることにした。「おおきに!」
今回お邪魔した美味しいお店:『たこ梅 本店』
住所:大阪市中央区道頓堀1-1-8
交通:日本橋駅 徒歩5分
この記事を書いた人
編集者・ライター
長年出版業界に従事し、グルメからファッション、ペットまで幅広いジャンルの雑誌を手掛ける。全国地域活性事業の一環でご当地グルメを発掘中。趣味は街ネタ散歩とご当地食べ歩き。現在、猫の快適部屋を目指し日々こつこつ猫部屋を制作。mono MAGAZINE webにてキッチン家電取材中。https://www.monomagazine.com/author/w-31nekoyama/