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伝説よ、再び――「トキワ荘」から始まった、いま、未来へと続く日本の“まんが道”(2/3ページ)

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忠実に再現された「トキワ荘」

ミュージアムでは、多くのマンガ家が生活していた空間が忠実に再現されている。「ギシッ、ギシッ」ときしむ音が再現された2階へ続く階段を上がると、トイレと共同炊事場がある。



当時の様子が細かく再現されている 上:トイレ 下:共同炊事場

建物や部屋にはエイジング処理が施され、当時の生活の息吹が感じられる。もちろん本物のトキワ荘を見たことはないが、『まんが道』で読んだトキワ荘のイメージそのものだ。


18号室 山内ジョージの部屋

「当時の図面があったわけではないので、住まわれていた先生方への聞き取りや資料を元に再現しました。新聞社さんが持っていた写真が再現するのに役立ったと聞いています。細かいところでは、当時の天井の板が残っていたので、板の幅を元に4畳半の部屋の広さを採寸したりしたそうです」(北山さん)

図面がない中での再現は、かなりの難易度だったに違いない。

また、他の部屋では、マンガ家たちの生活や文化、当時の物価などが分かるパネルも多数展示されており、その生活をイメージすることができる。さらにマンガができるまでの工程や、実際にマンガを描く体験ができるのも嬉しい(コロナの影響で当面の間中止)。

そして1階は、さまざまな角度からマンガを楽しめるエリアになっている。企画展示室では、現在、開館記念企画「漫画少年とトキワ荘」を行なっている(2020年9月30日で終了)。

この企画展示室には、『漫画少年』が多数展示されている。同誌の特色は、投稿欄が充実していたことだ。そこで、マンガ家を志す者は『漫画少年』に競って作品を投稿し、多くのマンガ家が育ったとされている。そして、このトキワ荘にマンガ家たちが集まるきっかけにもなった重要な雑誌である。眺めているだけで、その時代を知る人にとっては、そのころの思い出を懐かしむことができるし、そうでない人にとっても日本のマンガの歴史を追体験することができるだろう。

この開館記念企画「漫画少年とトキワ荘」は9月で終了するが、企画展示室では20年10月30日から「トキワ荘のアニキ 寺田ヒロオ展」が始まる。トキワ荘に住んでいたマンガ家たちのアニキ分的な存在として知られる寺田ヒロオ。その人柄や、マンガにかけた思いを直筆原稿や貴重な資料と共に紹介されるとのこと。こちらもぜひ観覧したい企画展だ。

子どもから大人まではもちろん、さらに海外からも注目されている日本のマンガ・アニメ。豊島区では、マンガとアニメの聖地として、トキワ荘以外にもさまざまな取り組みを行なっている。ミュージアムは現在、コロナの影響で予約制での利用となるが、ぜひ足を運んでみてほしい。

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