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事故物件公示サイト運営者、大島てる氏に聞く(2)

【大島てる】事故物件はすべて晒す。気にするかしないかはあなた次第です(3/3ページ)

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「あいまい」だから「告知しておこう」と判断させる作用がある

——消費者保護のためには、明確なルールが必要ではないですか?

大島:実は、私は明確に告知義務のルールを決めてしまうことには懐疑的なのです。たとえば、告知義務の期間を「自殺の場合は5年間とする」と決めたとします。そうすると何が起こるかといえば、間違いなく「5年と1日経ったらもう告知しなくていい」と逆にとらえられるだけでしょう。

ですが、現在のように「知っていたら契約しなかったかもしれないような事実はすべて告知しなさい」という非常にふわっとしたルールであれば、不動産業者は「これを告知しなかったらまずいんじゃないか」と身構えるはずです。迷った上で、 安全策を取るなら「とりあえず告知しておこう」という判断をするでしょう。あらゆることが「あいまい」なことのメリットとして、そうした作用を期待できるというのが私の考えです。

それに、司法の判断は別にして、何年経ったからもう大丈夫などということは大家や不動産業者が判断することではありませんし、そもそもその物件に住む本人の判断を尊重すべきなのです。

便器を歯ブラシで磨いて、その後薬品で消毒して、「もうきれいだからこれで歯も磨けます」と言われても、やっぱり嫌な人は嫌なわけですよね。気のせいだとか非科学的だとかいわれても、そんなの関係ないわけです。
情報はすべて出す、その上で、気にするか気にしないかはあなた次第というのが、最もフェアなやり方なのではないでしょうか。

◆◆◆

宅建業法の告知義務について、「非常にあいまいなことにメリットがある」という大島さんの指摘には、なるほどと納得させられました。事故物件公示サイトというと、オカルト的な怖いもの見たさのような印象を受けるかもしれませんが、決してそのようなスタンスではなく、その運営方針からは消費者保護の意識がとても強く感じられます(第3回に続く)。

【第1回、第3回はこちら】
第1回 圧力があっても削除しない! 【大島てる】が事故物件にこだわる意外な理由とは?
第3回 【大島てる】事故の連鎖を招きかねない「脱法」リフォームを公開する!


大島てる(おおしま・てる)
平成17年9月に事故物件公示サイト『大島てる』を開設。当初は東京23区のみの事故物件情報を公示していたが、その後、徐々に対象エリアを拡大、現在では日本全国のみならず海外の事故物件をも対象としており、英語版も存在する。「事故物件ナイト」をロフトプラスワンウエスト(大阪)にて不定期開催中。公式Twitter・Facebook・Lineアカウントがある。元BSスカパー!「ALLザップ」特捜部最高顧問。その活動は『ウォール・ストリート・ジャーナル』でも紹介された。取材・執筆協力した書籍に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)、『事故物件サイト・大島てるの絶対に借りてはいけない物件』(主婦の友社)がある。

大島てる CAVEAT EMPTOR: 事故物件公示サイト
http://www.oshimaland.co.jp/

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この記事を書いた人

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