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家主に一方的に有利な契約書 内容を変えてもらうことは可能か(2/2ページ)

大谷 昭二大谷 昭二

2021/05/20

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法律があっても立場の強い家主とは

相談内容を見ると、「借主に一方的に不利……」ということですが、具体的な記載条項を確認する必要があります。

その条項が、借地借家法の強行規定や消費者契約法に違反すると認められる場合には、そのまま契約しても、条項としては認められません。

ただ、将来のトラブル予防のために、家主に「法律上認められないと思うので、削除してもらえないか」申し出ることもできます。ただし、言い方には気を付けないと、家主が契約そのものを拒否してくる可能性があります。

一方、上記の規定・法律に違反していない条項については、借主としては、認めなければ、契約できない可能性が強くなります。

一般的な傾向として、空室が出てもすぐに入居者が見つかるような条件のよい物件の家主は強気です。こうした物件では借主から「不利な条項を削除してくれ」と申し出ても、「無理に契約してもらわなくて結構。ほかにいくらでも借りたいという人がいるから」という答えが返ってくるでしょう。

従って、「借主に一方的に不利な条項がある」場合、「不利を承知でも契約したい」のか、「納得できなければ契約しない」のかをはっきりさせたうえで、家主(仲介業者)との交渉に臨まなければなりません。

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この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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