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ゴミのトラブルとオーナーチェンジのトラブル その交渉方法は?

大谷 昭二

2020/12/09

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イメージ/©︎g215・123RF

ゴミ出しがいい加減な入居者 住民同士で解決しなくてはいけないの?

Q.住んでいる賃貸住宅にゴミの回収ルールを守らない入居者がいるため、いつもゴミ回収場所がゴミで散乱してしまっています。近隣からも苦情が出ているため、家主に苦情を申し立てたところ、家主は「ゴミ回収は入居者同士で話し合って解決してほしい」と言って取り合ってくれない。今は、入居者の有志で後始末をしているが、何とかならないものでしょうか?

A.これは家主の考え方が間違っていると思います。分譲物件と勘違いしているのでしょう。

分譲マンションなどでは、それぞれの入居者自身がオーナーであり、管理責任者なので、入居者同士が話し合って解決するしかありません。そのために管理組合を結成しています。また、契約している管理会社が間に入って話し合いを行うこともあります

しかし、賃貸物件においては、それぞれの入居者はオーナーではありません。管理責任も自分が借りている部屋や、共有部分でもベランダなど居住者の専用部分になります。ゴミ回収場所のような共用部分については、その管理は、管理責任者である家主自身が行うべきなのです。便宜上、入居者が共同管理しているような場合にも、それは自主的なものであり、管理責任は、あくまで家主にあるのです。

家主は、家賃という対価を得て、他人に物件を貸している以上、入居者に使用収益させる義務があります。

ゴミの回収を入居者にきちんと行わせ、ゴミの散乱を防止し、それでもゴミが散乱して誰も後始末をしないような場合には、家主がきちんと後始末をしなければなりません。

そこで対応策としては、個別に言うのではなく入居者の連名で家主に対して「家主には、入居者に対して使用収益させる義務があると同時に、共用場所をきちんと維持する義務があるので、ゴミが散乱している場合には、家主自身の責任で解決に当たってほしい」と要求してみることも必要です。

ゴミ処理での費用負担は不当なのでは?

Q.現在、住んでいるところは自治体のゴミ回収ではなく、業者が毎日ゴミの回収をしています。そのため毎月「ゴミ回収代」として費用を請求されます。自治体のゴミ収集であれば無料なので、入居者が費用を負担するのは納得できません。

A.このような問題は、本来、契約前に確認し、解決しておくべき問題です。

学生マンションなどでは、入居者の学生が、ゴミ出しルールを守らないケースがよくあり、家主や管理会社が後始末をしなければならないということが少なくありません。

とはいえ、ゴミ出しには、主に次のような5つのルールがあります。

・指定されたように分別すること
・指定された袋に入れること
・指定された曜日に出すこと
・指定時間帯に出すこと
・指定の場所に出すこと

しかし、これらのルールをすべて守ることができない入居者が、一定の割合でいるのが現実です。仮に、100人が居住しているマンションで、わずか2~3名のルール違反者がいても、結果的にゴミが散乱してしまい、近隣からの苦情に発展することになってしまいます。

そこで家主側もこのような現実を背景に、最初から、民間のゴミ回収業者と契約し、「毎日回収」を行っている学生マンションがあります。そして、このゴミ回収費用を入居者に、按分負担してもらっているのです。

このような点については、契約前の重要事項説明で、必ず説明されているはずです。万が一、説明がなかったとすれば、仲介業者の責任になります。学生が契約する場合、多くの場合、重要事項説明を熱心に聞いているのは保護者であり、本来、きちんと内容を把握しておくべき本人(学生)は、「すべて親任せ」というような態度で、重要なポイントも聞き漏らしていることが少なくないのが現実なのです。まず、重要事項説明できちんと説明されたかどうかか、確認してみることが必要になります。

また、住んでいる間に、自治体のゴミ収集から、業者の収集に切り替えになった場合もあります。この場合も、一概に家主や管理会社が「悪い」とは言えない場合もあります。実際、常にゴミが処理されるというメリットを入居者が受けるわけですから、負担する費用が許容範囲内(日額30~50円として月額1000~1500円程度)であれば許容範囲になるのではないでしょうか。

一方、費用負担以外については、別の問題を指摘する声もあります。

自治体のゴミ収集では、分別が義務付けられますが、業者の収集では分別しないでゴミ出しができるということが多いようです。そのため、ゴミの捨て場所の負担が増えたりして環境問題を悪化させるもととなったり、入居者の環境マインドを醸成しないといったことも指摘されています。

オーナーチェンジによる敷金の請求や契約のやり直しってあり?

Q.住んでいる物件が売買により、家主が別の人になりました。新たな家主より「私は敷金を受け取っていないので、敷金を納めてほしい」と言われたのですが、再度、敷金を支払わなければならないのでしょうか?

A.通常の売買によって、家主が代わった場合には、新家主が敷金を受け取っていなくても、「売買価格に敷金相当額を含んでいる」と考えられています。

そのため前の家主の権利と義務関係をそのまま引き継ぐことになりますので、当然のことながら、敷金も引き継いでいるのです。したがって、敷金を再度支払う必要は一切ありませんが、新しい家主に納得してもらえるようにうまく主張することが必要でしょう。

Q.住んでいる物件が売買により、家主が別の人になりました。新たな家主より、「契約書を変更し、家賃も値上げするので、同意できなければ退去してくれ」と言われました。こういう場合、新たな家主の主張に従わなくてはいけないのでしょうか。

A.前の質問と同様、売買による家主の交代の場合、新しい家主は、前の家主の権利・義務関係をそのまま引き継ぎます。したがって、契約書の内容や家賃は、入居者と前の家主が交わした約束であり、権利でもあり、義務でもあるわけですから、一方的な変更はできません。

仲介業者と管理会社の契約書の内容が違う!?ってどういうこと?

Q.仲介業者で受け取った契約書内容と管理会社から送られてきた契約書の内容が違います。どちらが正しいのでしょうか。

A.仲介業者が、本来、管理会社が指定する契約書を使用すべきところを、自社で使用している契約書を間違って使用したことが原因になったと思われます。

そうだとすれば、正しい契約書は、管理会社が用意したものとなります。そこで、管理会社が用意した契約書の内容と仲介業者で受け取った契約書の内容が大幅に異なり、仲介業者で受け取った契約内容だったから契約したという場合には、仲介業者に対して、損害賠償を行うことが可能となるでしょう。

不当な契約条項、その場で削除を求めるべきか?

Q.契約書の内容を見ていたら、「契約更新ごとに家賃を5%値上げする」となっていました。そうした契約内容は不当だと思いますが、削除を求めることはできるのでしょうか。それとも法的に認められないと思うので、無視して契約したほうがよいですか。

A.まず大事なことは「契約更新ごとに家賃を5%値上げする」という合理的な根拠はあるかということです。

そうした根拠があれば、「不当な契約」とは言えません。しかし、一般的には「更新ごとの自動値上げ」を行うような合理的な根拠はないと思います。そういう場合は、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」に該当しますので、契約内容そのものが無効となります。

とはいえ、あとになって言うのはトラブルのもとです。ですので、最初から削除してもらうほうがよいと思います。しかし、あまり強い交渉を行うと、契約そのものができなくなる(家主が契約を拒否する)可能性もあります。

入居を優先したいのであれば、あまりに強い要求は避けたほうがよいでしょう。その代わり契約更新時には、交渉を行う必要があります。どちらがよいとは一概に言えませんが、いずれにしても、最終的には借主の判断次第となります。

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この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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