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「申込金」と「手付金」の違いはわかりますか?――文書の確認をしないで起こるトラブル(1/2ページ)

大谷 昭二大谷 昭二

2021/03/24

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イメージ/©︎paylessimages・123RF

不動産の売買や賃貸契約などで使われる言葉には専門用語も多く、一般の人には分からないもの、勘違いしてしまうものもあります。しかし、そんな意味が分からず、その結果として思わぬ出費につながったりすることもあります。

そんな間違いやすいものを解説していきます。

「申込金」と「手付金」――その違いはわかっていますか?

Q.賃貸住宅の申し込みを不動産ではなく、直接、家主に行い「申込金」を支払いました。しかし、これをキャンセルしたところ、「申込金」が返金されません。どのように対応したらよいですか。

A.「申込金」と「手付金」は、住宅の売買や賃貸契約をする際に、しばしば出てくる言葉ですが、この2つはまったくの別物なのです。

一方、「手付金」を受け取れるのは、契約の当事者である家主だけ。あるいは、仲介業者が受け取る場合には、家主からの代理権が必要になるので、家主から手付金の受領を認めるという委任状などが必要で、契約の際には委任状を提示する必要があるとされています。

申込金は正確には「申込証拠金」というもので、その物件を売買、あるいは借りる際に、申し込みの意思を確認するためのお金です。これを支払っておくことでほかにその物件をほしい人、あるいは借りたい人が現れても優先権を得るためのお金なのです。そのため契約の前であれば、購入の中止や物件を借りるのをキャンセル、「申し込みを撤回」することはでき、その際に、申込金も返金されます。

一方、「手付金」は契約をしたあとにし売買契約、あるいは賃貸契約を結ぶときに支払うお金です。つまり、契約のキャンセルになるため、支払った手付金は「解約手付金」になるため返金されません。

そのためお金を支払う前にそのお金が「申込金」なのか、「手付金」なのかを明確に確認しておく必要があります。

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この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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