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家賃、値下げ交渉…同じ物件なのに差がある――モヤモヤ不公平感にお答えします

大谷 昭二

2021/03/04

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イメージ/©︎asawinklabma・123RF

知らなければとくに問題だとは思わないことでも、知ってしまうと何かおかしいと疑問が出てくることがあります。そんな疑問にお答えします。

間取りは同じなのに家賃が高い!

Q.入居中、あることから同じ間取りなのに、他の人よりも家賃が高いことを知りました。そこで、家主に「同じ間取りで安い家賃の人もいるので、それに合わせて値下げしてほしい」と言ったのですが、拒否されました。不公平だと思うのですが、どうしたらよいですか。

A.借地借家法第32条では、「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる」としています。つまり、法律上、家主にも、借主にも、家賃を増減する権利が認められているわけです。

そこで「同じ間取りで……」ということは、「近傍同種の建物の借賃」ということと同じようにみなすことができますので、同じ間取りにもかかわらず、ご相談者の部屋の家賃があまりにも高すぎるというような場合には、「家賃を下げてほしい」という要求をすることができます。

しかし「たまたま同じ間取りなのに家賃が安い人がいる」のか、それとも、ご相談者の部屋のみが高すぎるのかによっても、家主の対応は異なってくることが考えられます。

また、たとえ同じ間取りであっても、階数や向きなどによっても、家賃が異なるケースはよくありますので、誰が考えても、不合理なほどの家賃の開きがあるかどうかがポイントになります。

もし、誰が考えても、不当なほどの家賃の開きがあるようなら、そうした資料をそろえて家主に率直に家賃の値下げをお願いしてみてはどうでしょうか

交渉の仕方で家賃に差が出た!

Q.同じ条件で入居していた人が、家主との交渉で、家賃の値下げをしてもらったという。そこで、同じように家主に交渉したところ、「家賃の値下げをした人がいるからといって、事情も違うし、同じように家賃の値下げに応じるつもりはない」と断られてしまった。

それなら「その事情を教えてほしい」と言ったところ「個人のプライバシーに関わることなので話すことはできない」と言われた。自分だけ、家賃の値下げをしてもらえないのは、不公平。何とかならないでしょうか?

A.借主には、家賃の値下げを要求する権利はあります。しかし、どんな場合にも、家賃の値下げを要求できるわけではなく、あくまで、不合理な家賃となった場合で、それを是正する権利があるに過ぎません。

ですから、家賃の値下げを勝ち取った人がいるからといって、誰もが同じように家賃の値下げをする権利があるわけではありません。

そして、家主が主張しているように、ほかの人の家賃を下げた理由について、第三者(ご相談者)に説明しなければならない義務もありません。

家賃の値下げを求める際は、他の人の家賃値下げに関係なく、相談者自身の部屋の家賃が不当に高くなっているということをきちんと説明し、家主に家賃の値下げを受け入れてもらえるように交渉しなければなりません。

近所に迷惑施設、事前説明が必要では?

Q.物件が気に入って入居してみると、近くに迷惑施設。事前に説明がなかったので、不動産業者をただすと「重要事項として説明する項目ではない」と一点張り。納得できません。

A.宅建業法第35条1項によれば、重要事項として説明すべき事項として、登記簿上の権利関係、法律に基づく制限、水道ガス電気などの整備状況、賃料のほかかかる費用についてなど、さまざまな事項について、法律で「必ず説明すべき事項」として定められています。

不動産業者は、法律上明記された項目の中に、「迷惑施設うんぬんという言葉がない」ということで、説明しなくてもよいと考えているのかもしれませんが、法律をよく見ると、第47条1項に「重要な事項の告知義務」を定めています。

これは35条の法律上、具体的に明記されている事項以外でも、契約するかどうかを判断するときに大きな材料となる事項については、「重要な事項」として、必ず説明しなければならないとされているのです。

具体的には、過去に自殺や火災などがあった物件については、35条の「重要事項」ではありませんが、47条の「重要な事項」にあたるため、必ず説明する必要があります。

そこでご相談の「迷惑施設」ですが、ひとくちに迷惑施設といってもいろいろなものが考えられます。その内容と距離がどの程度であったかによって、「契約するかどうかの判断材料として重要なポイントになるかどうか」が問題となります。この点で、業者の言い分が正しかったかどうかを見極める必要があります。

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この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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