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明日は我が身

家賃滞納は他人事ではない。今の日本であれば誰もが陥る可能性がある(3/4ページ)

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「助けて」と言い合えるおつき合いが必要

──人間関係が希薄になってきているということですか。

生活や心に余裕がない人が多く、世の中がギスギスしているような気がします。みんながほんのちょっとのやさしさを持つことができれば、社会をもう少しうまく回していくことができると思うんです。

──太田垣さんがシングルマザーで苦労していたとき、人に助けられたという経験はありますか。

もちろんあります。子どもが休みの日でも仕事に行かなければならないときがあります。そういったときには、近所のおじいちゃんやおばあちゃんに本当にお世話になりました。その代わり、私が休みの日に巻き寿司や煮物を大量に作って、ご近所におすそわけしていました。また、おじいちゃんやおばあちゃんが年齢を重ねて施設に入られたら、子どもと一緒に会いに行くこともありました。そういった近所同士のおつき合いがあったからこそ、私は困ったときに「助けて」と言えました。

──今は、そういった人間関係も少なくなり、誰かが少し助けてあげれば救われたはずの人が救われなくなっているということですね。

そうですね。困っている人がいても自己責任だといって突き放してしまうケースも多くありますが、それは結果的にブーメランとなって私たちにも返ってくるだけです。

──どういうことですか。

この日本で、子どもの7人に1人が貧困状態にあるといわれています。貧困家庭にある子どもたちを世の中が放置したらどうなるでしょうか。そのまま貧困から抜け出せないまま大人になる人が増えれば、年金制度は破たんし、私たちの老後も苦しいものになるでしょう。あるいは、賃貸物件を所有するオーナーが家賃滞納者を一方的に突き放すとどうなるでしょうか。おそらく、簡単には退去してもらえず、時間ばかりが過ぎて滞納額が増える一方でしょう。追い詰められている人は、とても視野が狭くなっており、「今日どうするか」しか考えられなくなっています。そういった人たちを追い詰めるだけでは解決にはなりません。少し寄り添って考えてあげることで、お互いに少しでもダメージを減らした解決策が見いだせるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

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