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家賃滞納は他人事ではない。今の日本であれば誰もが陥る可能性がある(2/4ページ)

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社会のさまざまな問題が家賃滞納者を生む原因に

──具体的にどのような状態で家賃滞納をしてしまっているのでしょうか。

たとえば、大手広告代理店に勤務後、若くして起業した方がいました。なんの問題もないような方ですが、起業した仕事が予定通りにいかずに家賃の滞納が始まり、最終的には消費者金融にまで手を出してしまったというケースがありました。また、子どもたちに心配をかけたくないと必死に頑張っていたものの、家賃の支払いが追い付かなくなったシングルマザーもいました。就職がなかなか決まらなくて、家賃を払えなくなった若者もいました。本当にいろいろなケースがあります。

──家賃滞納問題に、社会のさまざまな問題がからみあっているということですが、具体的にはどんな問題が挙げられるのでしょうか。

さきほど挙げた大手広告代理店に勤めていた方を例にとると、起業がとても簡単になったこともひとつの問題として挙げられるでしょう。以前は、株式会社を設立するためには1000万円の資金が必要でした。しかし、平成18年の新会社法施行後、資本金関係なしに設立できるようになりました。見通しが甘いままに起業した結果、会社経営がうまくいかなくなるといったケースも増えているのではないでしょうか。また、消費者金融から簡単におカネを借りることができるようにもなりました。借金することに“痛み”を伴わなくなってきたように感じます。

──家賃と直結したところでいえば、家賃保証会社がメジャーになってきました。連帯保証人がいなくても部屋を借りられるようになったことも問題のひとつといえるでしょうか。

身の丈よりも少々高い家賃の物件だったとしても、保証会社の審査が通れば、「自分はこの物件を借りられるだけの人間なんだ」と錯覚することがあるかもしれません。もしも、家族や身近な知り合いが連帯保証人になる必要があれば、「そんな家賃が高い部屋に住んで、本当にやっていけるのか」などとお小言をもらい、それがある種のストッパーになります。もちろん、家賃保証会社がいけないわけではありません。さきほどの簡単に起業できるようになったこと、消費者金融から簡単におカネを借りられるようになったことなどもそうですが、日本はおカネに対する考え方や使い方の教育がなされていないように思います。

──社会の変化とともに、ゆがみが生じ始めているともいえますね。

そうかもしれません。さらに、パソコンやスマートフォンなどが普及し、多くの情報を簡単に得られるようになりました。その半面、身を持って何かを学ぶということも少なくなってきたように思います。そして、どこでもすぐにモノが買える現在は、生活するためにおカネがかかる時代にもなっています。このように、家賃滞納者を生んでしまう原因はひとつではなく、社会の変化とともに問題が多岐にわたるようになり、簡単に解決できるものではなくなってきました。そして、なかでも一番問題となることが、“人”です。

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