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住宅ローンで家計を破綻させないために

住宅ローンは何歳までなら借りられる? 何歳までに完済すべき?(2/3ページ)

牧野寿和牧野寿和

2017/08/17

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「借りられる年齢」と「借りていい年齢」は違う

もちろん、金融機関の審査を通過しなければいけないのは大前提ですが、こうした年齢制限を超えていなければ、何歳であっても「借りられる年齢」ということになります。つまり、「住宅ローンを借りられる年齢」=「金融機関が融資の申し込みを受け付けている年齢」ということになります。

一方、住宅ローンの考え方として、「借りていい年齢」というものがあります。「借りていい年齢」=「融資を受けた金額を無理なく返済できる年齢」であって、「借りられる年齢」とはまったく違います。

繰り返しになりますが、「借りていい年齢」とは、決められた返済期限までに確実に返済が可能な年齢のことです。いくら金融機関が融資をしてもいいと言ってくれても、実際に滞りなく返済することができなければ、借りていいということにはなりません。

それを判断するには、貯蓄額や住宅ローン控除の額などを加味して、将来にわたる家計の収支をシミュレーションした上で、滞りなく返済を続けていくことができるかどうかを検討しなければなりません。

収入や貯蓄額、購入する物件の価格などによっては、「借りていい年齢」が30代の人もいれば、40代の人もいますし、冒頭でお話ししたAさんのように60代の人もいます。

逆に言えば、住宅ローンを借りることによって、家計に過度な負担がかかったり、それこそ破綻してしまったりといった影響を及ぼすことがなければ、住宅ローンは何歳で借りてもいいのです。

もちろん、金融機関が決めた年齢制限はありますが、「何歳までに借りなければいけない」とか、「何歳までなら借りていい」となどと決めつける必要はないと言えるでしょう。

定年退職前に完済したいなら何歳までに借りるべき?


© polkadot – Fotolia

滞りなく返済できるのであれば何歳で借りてもいいとはいっても、サラリーマンには定年退職という大きな節目があります。

そのため、サラリーンマンの場合は、リタイア後に何らかの一定収入が見込めない限り、現役のうちに住宅ローンを完済することを考えるべきと言えるでしょう。

それでは、定年退職前に住宅ローンを完済するためには、何歳くらいで借りるべきなのでしょうか。

通常、住宅ローンの返済期間は、最大35年間となっています。シンプルに考えるのであれば、たとえば65歳まで現役としての収入の得ることができるなら、30歳(65歳-35年=30歳)で融資を受けて、こつこつ計画的に返済するのが基本と言えるでしょう。

しかし、もっと年齢が高くなってからでも、収入に見合った物件を選んで、滞りなく完済できる計画を立てることができれば、現役中に返済を終わらせることができます。

むしろ、年齢とともに収入も上がれば、返済期間を短くしてローンを組める可能性は高くなるとも言えるでしょう。

同じ金額を借りた場合、返済期間が短くなれば、毎月の返済額は大きくなりますが、利息額の負担は少なくなります。これは年齢が高くなってから住宅ローンを借りる場合のメリットです。

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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