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アメリカ大統領選挙、トランプ勝利の影響は?

2016年の「住宅ローン事情」総まとめ。2017年も低金利は続くのか?(2/2ページ)

牧野寿和牧野寿和

2016/12/29

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アメリカ大統領選挙、トランプ氏勝利の影響は?

マイナスの金利となった新発10年国債の金利を上昇させようと、日銀は9月に、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を実施しましたが、さまざまな要因も重なり、効果は思うように出ない状態が続きました。

そのような状況の中、11月8日に行なわれたのがアメリカ大統領選挙です。トランプ氏が当選したため、アメリカの10年国債金利が1%台後半から2.3%を超える水準まで上昇し、そのお陰か日本の新発10年国債の金利も、マイナスから12月には0.05%から0.06%と上昇しました。
とはいえ、昨年より低い金利水準である状況に変わりはありません。

2017年の住宅ローンはどうなる?

そこで気になるのが、今後の住宅ローン金利の動向です。今年、底を打った感のある住宅ローン金利ですが、来年は上昇するのでしょうか。
まず国内外の動向を見てみましょう。

日本経済への影響力が強いアメリカの状況を見てみると、この12月に米連邦準備理事会(FRB)が、2015年12月のゼロ金利政策解除以来、1年ぶりに利上げを行いました。
来年は、年に3回、利上げが行われるのではないかという予想も出ています。そうなれば、その影響で日本の長期国債の金利が上がり、連鎖して住宅ローン金利の上昇する要因にもなりかねません。アメリカの金利の上昇が続けば、円安ドル高の要因ともなります。


 
しかし、イタリアなどヨーロッパ経済の先行き不安やアメリカの金利上昇を不安視する諸外国もあり、安定通貨として日本円が買われ、円高ドル安になる可能性もあり、諸外国の動向も見逃せません。

すでに就任後のトランプ氏の経済政策への期待から、日本でも円安ドル高が進み、株価や長期金利の上昇が起こっています。当面は、来年1月20日の就任以降の政策が、どのように日本に影響するか注視されるところです。2017年はトランプ次期大統領の言動に要注意といえるでしょう。

国内では、先ほどもお話したように、日銀が消費者物価の前年比上昇率を2%と目標を定めており、今後の政策次第では金利が上昇するかもしれません。しかし、最近になって日銀の黒田総裁が、2%の目標達成を2017年度中から2018年度中に先送りすると発言したことは記憶に新しいところです。となると、金利が上昇していくかどうかは疑問ではないでしょうか。

国内においては、残念ながら急速に景気がよくなり、金利が大きく上昇をする要因はないといえます。そのため、住宅ローン金利も急激な上昇はないように思えます。
ただ、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、建築資材や人件費などの高騰による住宅購入価格の値上がりは、首都圏に限らず全国規模にすでに始まっています。来年は、この傾向がより顕著になることが予想されます。

住宅購入をお考えの方は、住宅ローン金利と物件価格の動向を見ながら、慎重に判断していただきたいと思います。

情報提供元:イエトヒトマガジン( https://www.ietohito.jp/magazine/
記事名:「2016年の「住宅ローン事情」総まとめ。2017年も低金利は続くのか?」( https://www.ietohito.jp/magazine/00000633/
(元記事公開日 2016/12/27)

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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