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2016年の「住宅ローン事情」総まとめ。2017年も低金利は続くのか?(1/2ページ)

牧野寿和牧野寿和

2016/12/29

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2016年は史上最低と言われるまで金利が下がった

2016年の住宅ローン事情といえば、まず思い浮かぶのは、「過去最低金利の更新」でしょう。
【フラット35】の金利動向を振り返ってみると、2016年5月には、借入期間15〜20年の金利が0.96%と1%を切り、7月には借入期間21〜35年でも0.93%と1%を切りました。そして、8月には0.90%と史上最低金利をさらに更新したことは大きな話題になりました。

なぜ2016年は、これほど住宅ローン金利が下がったのでしょうか。住宅ローン金利は、ある指標に連動して上下するのですが、その仕組みを簡単におさらいしてきましょう。

長期固定金利は、「国債の金利(新発10年国債の利回り)と、変動金利・短期固定金利は、「短期プライムレート」と、連動していると言われています。
「新発10年国債」とは、新規に発行される償還年限が10年の国債のことで、毎月発行されています。信用度が高くこの国債の金利が長期金利の代表的な指標となり、住宅ローンの長期固定金利にも影響を与えています。

また、「短期プライムレート」とは、銀行が最優良な企業に貸し出す時の最優遇貸出金利(プライムレート)のうち、1年以内の短期貸出金利のことを「短期プライムレート」といい、住宅ローンの変動金利や短期固定金利に影響を与えています。

この指標の金利が上下すると、連動して住宅ローン金利も上下に動くのです。それでは、なぜこれほど金利が下がったのか振り返ってみましょう。

マイナス金利政策で金利が低下

日銀は、2013年1月に、「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定め、その目標達成策の一環として、今年2月よりマイナス金利政策を実施しました。

このマイナス金利政策は、金融機関が日本銀行にお金を預けるときに、利子がつくどころか逆に預金している分の利子を日本銀行に払わなければいけないというものです。そのため、金融機関としては日本銀行に預けていたお金を、他に貸し出さなければならなくなりました。さらに、マイナス金利の影響で新発10年国債の金利も低下したため、住宅ローンの金利は大きく下がっていったのです。

イギリスのEU離脱決定が住宅ローン金利にも影響

さらに、6月にはイギリスがEUを離脱することが決まり、このことも住宅ローン金利を引き下げる方向に働きました。EU離脱を受けてポンドが下落、投資家はリスクを避けようと各国の国債を買う動きを強めました。

その結果、日本の長期金利の指標となる新発10年国債の利回りは、過去最低を更新したのです。
7月、8月と【フラット35】の金利が過去最低を更新した背景には、こうした動きが影響しているといえるでしょう。

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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