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金利が0.6%軽減される新制度

【フラット35】リノベで、リフォーム済み中古物件はいま買いどきか?(2/2ページ)

横山晴美横山晴美

2016/11/15

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【フラット35】リノベはどのくらいお得なの?

上で見たように、【フラット35】リノベの適用を受けるには、手間や時間がかかりますが、金利引き下げの効果はそれだけの価値があるのでしょうか?
金利軽減によって、どのくらい総返済額が変わるのか、通常の【フラット35】と比較してみましょう(図2参照)。


(図2)【フラット35】リノベの金利軽減効果はどれくらい?

図2で見た通り、金利Aプランはもちろん、金利Bプランでも大きな軽減効果があるといえるでしょう。
なお、民間のローンでもリフォーム一体型ローンがありますが、金利優遇措置はありません。ただ、性能基準や面積要件などはなく、審査されるのは融資を受ける人の返済能力が中心です。金利面では若干不利になるかもしれませんが、審査さえ通れば自由にリフォームできるのは魅力ですね。

【フラット35】リノベを借りるときの注意点

返済額軽減効果が期待できる【フラット35】リノベですが、注意すべき点もあります。


■注意点1■ つなぎ融資が必要な場合がある

【フラット35】リノベは、金融機関によって内容が違いますし、そもそも取り扱いがない場合もあります。
また、中古住宅を購入して自分でリフォームを行なう場合、つなぎ融資が必要な場合があります。
中古住宅を購入後に自分でリフォームを行なう場合は、中古住宅の代金決済時とリフォーム工事代金決済時の2回の融資が必要になるケースがあるからです。
この場合、中古住宅の購入代金は「つなぎ融資」で決済し、リフォーム工事の代金を決済する際に【フラット35】リノベを使って「つなぎ融資」を返済することになります。
なお、【フラット35】を取り扱う金融機関のなかには、「つなぎ融資」を行なっていないところがあるため、金融機関を選ぶときには注意してください。
リフォーム済みの中古住宅を購入する場合、決済は物件の引き渡し時の1回のみなので心配いりません。

■注意点2■ 3回の物件検査が必要

申請には「売買時」「リフォーム工事着工前」「リフォーム工事後」の計3回の物件検査が必要です。検査費用は自己負担になります。リフォーム済住宅を購入するときには業者で実施済みの場合もありますが、実費と手間賃は物件価格に上乗せされているはずです。


■注意点3■ 期間限定の制度である

【フラット35】リノベは期間限定の制度で、申し込みの受付期間は平成28年10月1日から平成29年3月31日までです。※期間については、平成29年度中の延長が決まっています。
また、予算枠が決められているため、期間満了前でも所定の予算を使い切ってしまったら、利用ができなくなってしまいます。また、要件の難解さも制度面のデメリットでしょう。


自分でリフォームするか、リフォーム済み物件を購入するか?

【フラット35】リノベを利用を考えている方のなかには、リフォームを自分で行なうか、リフォーム済みの物件を購入するかで悩む方は多いのではないでしょうか。一体、どちらがおすすめなのでしょう。

私がおすすめしたいのは、「自分でリフォーム」することです。
その理由は、リフォーム済物件はリフォーム費用が上乗せされる上、「新築同然」「きれいになった」という付加価値が加わるため価格が高めになってしまうからです。
おそらく中古物件を検討している人は、購入価格を抑えたいと考えていることと思います。リフォーム済み物件でなければ割安で購入できますし、リフォーム工事の内容も資金に合わせて調整することができるのでおすすめです。
また、中古物件の魅力のひとつは、自分で好きなようにリフォームできることです。リフォーム済み物件は、そうした中古物件特有の魅力を失ってしまうのです。

ただ、自分でリフォームして【フラット35】の適用を受けるには、物件検査の実施やリフォーム業者と金融機関との調整など、買い主の負担が大きいのも事実です。その手間を楽しめる人に向いているといえるでしょう。
もし、そうした手間は省いて、完成した物件にお金を払うほうがいいとお考えの場合は、多少価格が割高になるのを承知の上で、リフォーム済物件を購入することをおすすめします。

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この記事を書いた人

ライフプラン応援事務所代表

ファイナンシャルプランナー(AFP)、住宅ローンアドバイザー。企業に属さない独立系FPとして、2013年ライフプラン応援事務所を立ち上げて以降、住宅相談を専門に扱う。マイホーム相談では保険見直し、教育費、退職後プランなど総合的な視点で資金計画、および返済計画を考案。相談業務のほか、セミナー講師、執筆業など情報発信、啓蒙活動にも力を入れている。 「自分の家計は自分で守る」をモットーに、丁寧でわかりやすい面談が好評。 また、給付金や控除など、消費者のための制度を調べるのが得意で、「ここが使いにくい」「誰のための制度なのか」などとケチをつけるのが好き。

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