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家賃が滞納

その対応と対策の基本(2/3ページ)

廣江茜廣江茜

2019/05/18

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部屋の明け渡しがなされない場合はどうする?

賃貸借契約を解除し、部屋をオーナーに明け渡すよう求めても、借主が明け渡そうとしない場合はどうしたら良いのでしょうか。

合鍵を使って無断で部屋を開け、中の荷物を勝手に運び出してしまうということはできません。そのような自力救済手段を取ってしまうと、逆にオーナーが借主から損害賠償請求をされてしまうリスクがあります。そこで、裁判所に、建物明渡訴訟を提起して、「建物を明け渡せ。未払賃料○○円を支払え。」といった内容の判決をもらう必要があります。

このような訴訟提起までされれば、通常の借主であれば明渡しに応じるものですが、それでもなお、借主と全く連絡がつかない場合や借主が強硬に居座ろうとする場合もあります。このような場合は、次のステップとして、上記判決を元にした強制執行手続を裁判所に申し立てる必要があります。

強制執行手続では、執行官が部屋まで赴き、借主が不在の場合でも鍵を開けて、室内に入ることが認められています。そして、執行官が借主に一定期間内に明け渡すよう促してもなお、約束の期日までに部屋の明け渡しがされなかった場合には、強制的に室内の荷物を運び出すことができます。

このような強制執行手続を行うには、裁判所申立費用(執行官の日当)、同行する鍵屋の費用、荷物を運び出して一定期間倉庫で保管しておく専門業者(執行業者)の費用、とさまざまな費用がかかります。室内にかなりの量の荷物が放置されたままになってしまった場合には、トータル100万円を超えてしまうこともあります。この強制執行手続にかかった費用は、理論上は借主に請求できますが、現実的には、全く連絡がつかないような借主から支払われる可能性は極めて低いのです。

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この記事を書いた人

弁護士、ファイナンシャルプランナー

2005年司法試験合格、2006年大阪大学法学部卒業、2008年東京弁護士会所属、保有資格は弁護士、ファイナンシャルプランナー。 身近な法律問題についてわかりやすく、丁寧に説明することで定評がある。また、ファイナンシャルプランナーの資格を活かし、税金が絡む家庭問題(相続・離婚)を中心に一般民事事件業務を行っている。

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