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サラリーマンの賃貸業「ことはじめ」

――確定申告で知っておきたいこと(2/3ページ)

大野和也大野和也

2018/11/20

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不動産所得の計算方法

20万円以下ルールについて触れましたが、この金額は家賃収入の金額ではなくあくまで不動産所得の金額が基準となります。

不動産所得の金額は、家賃収入から必要経費を差し引いた金額で、これが儲けになります。

例えば月額賃料10万円で年間120万円の家賃収入に対し必要経費が100万円とすると、不動産所得の金額は20万円以下で、確定申告は不要となります。

しかし、確定申告が必要ないといっても、所得が20万円以下であることを証明するため所得金額を計算することは必須で、その計算根拠となる領収証書等の保存は必要となります。

どこまでOK? 不動産所得の必要経費
① 固定資産税…賃貸物件の土地建物に関する固定資産税全額が必要経費となります。
② 損害保険料…賃貸物件の建物に係る火災保険・地震保険料の全額が必要経費となります。なお不動産所得で必要経費とした地震保険料は、地震保険料控除の対象とすることはできません。
③ 修繕費…賃貸物件の通常維持管理費用、棄損部分の原状回復費用は必要経費となります。新たな設備の購入や資本的支出となるものについては、資産計上が必要です。
④ 借入金の利息…賃貸物件の取得に係る金融機関からの借入がある場合、その利息部分の金額のみ必要経費となります。なお住宅ローン控除は、居住していない期間は適用を受けることはできません。
⑤ 管理費…賃貸物件を管理する会社への管理料や仲介手数料、入居募集などの費用。マンション管理組合への管理費や修繕積立金なども必要経費となります。
⑥ 減価償却費…建物の実際の購入金額(取得価額)を基礎として原則定額法により償却額を毎年必要経費とします。
購入時の売買契約書は、賃貸した場合に限らず売却した際も必要で、税金を計算する上で非常に登場機会が多い書類です。不動産をすでに所有されている方はこれを機に契約書の所在を今一度お確かめ下さい。そしてこれから不動産を購入される方は相続するまで保存しておくことをお薦めします。
⑦ その他…不動産賃貸に直接必要な費用。不動産管理会社への打合せのための交通費や通信費などが必要経費となります。あくまで賃貸に必要な費用ですので、プライベートなものを必要経費とするのはご法度です。

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この記事を書いた人

税理士、大野税理士事務所所長

1973年、千葉県生まれ。東京・御徒町で50年続く税理士事務所を引き継いだ2代目所長。顧問先は飲食業・建設業・タクシー業・人材派遣業・共同組合など、業種は多種に富む。小規模でもキメの細かいサービスの提供に定評がある。(社)介護相続コンシェルジュのコンシェルジュメンバー。趣味は料理・釣り・革小物制作。

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