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増える災害で考える 地震保険が絶対必要な人、そうでもない人(2/2ページ)

平野 敦之平野 敦之

2018/09/20

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地震保険は必要?

地震保険についてよく聞かれる質問がその必要性についてです。先ほど火災保険との違いを確認しましたが、この2つの保険の目的の違いを理解することがとても重要なことです。

地震保険は被災後の生活再建のために加入するものなので、実際に保険金をどう使うかはともかく、保険金だけでは全壊した建物を再築する、再購入することはできません。

保険金額の上限が火災保険の50%と決められているためですが、もちろんこれだけでなく保険料もそれなりにするため、地域や建物構造によっては地震保険に加入することで保険料負担が倍くらいになるケースもあります。

考えておかなければならないのは、被災したときにどのように生活を立て直すかです。保険金だけで家の再築が難しいのは事実ですが、被災して住まいを失えばゼロスタート、あるいはローンがあればマイナススタートです。

こうした負担をどのようなかたちで軽減するかを考えておかなければなりません。特に持ち家の人については、現預金だけで対応するのはなかなか難しいことから地震保険は有効な選択肢の一つです。

最終的には予算もあるので調整が必要になりますが、自分が地震保険の必要性が高いかどうかは知っておくことは大切です。一般的に地震保険の必要性が高くなる人は次の3つです。

・住宅ローンの残債が多い
・現預金などの他の資産が少ない
・被災時に収入が途絶える可能性が高い

住宅ローンの残債が多い人ほど地震保険の必要性は高くなります。また住宅ローンを利用していると頭金などで資産が減少することから、購入から日が浅いと資産が少なくなるため、住宅ローン残高に連動するケースが多いのが現実です。

最も頭に入れておきたいのが収入減あるいは収入がストップすることです。会社員などが転勤などで仕事を続けられるようなケースではまだいいのですが、家業で自営業などをしていて店ごと全壊してしまうと家計全体の収入がストップします。

地震保険だけでは足りない分を建物だけでなく家財にも地震保険に加入したり、他の地震保険の上乗せ補償を検討することも方法です。負担が大きくなりますが、住宅ローンの残高が減少していくことに合せて補償も見直ししていくと負担は軽減できます。

また公的支援に被災者生活再建支援制度などから最高300万円がカバーされることもあるのでこうしたものも頭に入れておきましょう。最近では住宅ローンに自然災害の補償をカバーするタイプもでてきています。住宅購入するにもこれまで以上に地震災害などのことも考慮する必要性がでてきています。

自分の置かれているさまざまな状況を当てはめて利用できる方法を見直ししながら活用してください。

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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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