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「ブダペスト・ワインフェスティバル」に行ってきた

ワイン好きは知ってて当然!? 世界一に輝いた貴腐ワイン、その名前に隠された秘密とは?(2/2ページ)

パップ英子パップ英子

2016/10/02

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その名前に隠された秘密とは?


出所: (C)FinoMagazin( http://www.finomagazin.com/ )


トカイ・ヘジャリア地方でつくられた、シロップのようにとても甘い貴腐ワイン『The Tokaj Classic Aszú 6 Puttonyos 2000』。

まず、このワイン名に記載される「Aszú(アスー)」の意味からご説明しますね。このアスーという言葉はもともと、ハンガリー語で『しなびた葡萄』ですが、ワイン用語では『甘口の貴腐ワイン』を意味します。つまり、“アスー”の表記がある白ワインは、発酵途中のベースワインに貴腐葡萄を漬け込んで造られた貴腐ワインを意味しています。

同じくワイン名に記載された、「Puttonyos(プットニョス)」について詳しくご説明しますね。

この「プットニョス」という用語はもともと、「貴腐葡萄を入れた桶(または樽)」のこと。そして、その用語の前にある数字の6は、トカイ・アスーのなかでかなり糖度が高いことを意味しています。

プットニョスの度数が高ければ高いほど糖度が高くて甘く、濃厚かつ力強い味わいになるのが、トカイ産貴腐ワインの特徴です。

代々、トカイ・ヘジャリア地方では、「プットニョス」という背負い桶がワイン造りに使用されてきました。そんなプットニョスに入る貴腐葡萄の量は約25kg。その1杯分を1単位として数えるのがトカイならではの風習です。

たとえば、この「6プットニョス」であれば、桶6杯分もの貴腐葡萄を、発酵途中のベースワインに入れて漬け込んだという意味になります。また、『6』プットニョスもあると、かなりランクが高く高級な貴腐ワインとされているのです。

そんな6プットニョス以上に当たる、『7~8』プットニョス相当の貴腐葡萄を使用し、5年以上かけて熟成させた貴腐ワインがあります。そのワインの名は「トカイ・アスー・エッセンシア」。それはきわめて甘い貴腐ワインで、ハンガリーでも最高峰と謳われるワインです。

トカイ・アスー・エッセンシアは、あのルイ14世をも魅了したため、『ワインの王』と讃えられ、フランス、ドイツの貴腐ワインと並んで世界三大貴腐ワインのひとつとされています。

ハンガリーのワイン・フェスティバルで、『ワインの女王』をテイスティング


出所: (C)FinoMagazin( http://www.finomagazin.com/ )

筆者はこのフェスティバルで計8本のワインを試飲することができました。
すべてのワインについて述べたいところですが、どのワインも内容が濃いので、説明するのに半年くらいかかってしまいそうです。

そこで最後は、フランスのボルドーワインのブースもあったので、そちらで試飲した素晴らしいワインを少しご紹介しますね。

ボルドーワインと聞くと、ワイン好きな方でしたら「5大シャトー」や「グラン・ヴァン」といった用語をご存知の方も多いのではないでしょうか。写真に映っているのは、フランスの最高級ボルドーワインを販売している会社のブースでした。

ここでなんと、フランスワインの格付けで第一級に該当し、世界で最もエレガントかつ女性的なワインといわれ、「ワインの女王」と讃えられる“シャトー・マルゴー”を試飲することができたのです(写真の一番右に映るのが、ワインの女王マルゴーです)。


出所: (C)FinoMagazin( http://www.finomagazin.com/ )

ブダペスト・ワインフェスティバルの魅力は、フランスのボルドーで第一級に格付けされ、また、世界で最も価値が高いとされる赤ワイン(シャトー・マルゴー)ですら、日本円にして1000円程度でテイスティングできてしまうことなんです!

あるトカイワイナリーのブースでいただいた、ハンガリーの生ハムとともに、ドナウ川の先にある国会議事堂を眺めながら、優雅にマルゴーをテイスティングしてみました。

この国を代表する建築物である国会議事堂と、ワインの女王の組み合わせは何とも感慨深いものがありましたよ。

この日は午後4時頃から、ハンガリーの民族舞踊や音楽が王宮正面のステージで披露され、夜10時を迎えるまで、大勢の来場客で多いに盛り上がっていました。

ブダペストのワインフェスティバル、最後は少し駆け足なレポートとなってしまいましたが、いかがでしたか?

食欲の秋、ワインの秋。皆様もこの秋、美味しい食事とともに素敵なワインを味わってみてはいかがでしょうか?

以上、ハンガリーのブダペストより、世界遺産の王宮が舞台となった、ワイン・フェスティバルの様子をお届けしました。

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この記事を書いた人

“FinoMagazin”(フィノマガジン)主宰(編集長)

ハンガリー在住コラムニスト。 食品会社でワインインポーター業務に従事した後、都内の広告代理店に転職。コピーライター、ディレクターとして勤務。百貨店やデパート、航空会社、ベビー・ブランド等のクリエイティブ広告で、インテリア製品のコピーライティング、ディレクション等を数多く手がける。 2013年、夫の国ハンガリーに移住後も育児に奮闘しながら執筆業に邁進。日本の雑誌(出版社)でハンガリー紹介記事(取材・撮影・文)を担当。また、自身とハンガリー人クリエイターとで運営するブダペスト発ウェブメディア“FinoMagazin”でもインテリアを含めたライフスタイル全般コラムを連載。美容メディアにてビューティ・コラム連載、その他、企業のWEBサイトや企画書制作、日本のTV局、広告代理店、メーカーからの依頼でハンガリー現地ロケ・コーディネート等、多岐に渡る業務をこなしている。 自身主宰のハンガリー情報WEBメディア “フィノマガジン” http://www.finomagazin.com/

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