Stay Homeというけれど、海外で起こったDVは日本でも起こるのか?(2/2ページ)
遠山 高史
2020/04/24
掃除がもたらす効能とは?
Mさんは、悩んだあげく、長年ほったらかしにしていた家中のガラクタを整理することにした。子供たちを巻き込んで、不要な物を整理したり、掃除をしたりしていれば、気がまぎれる。部屋がきれいになれば、夫の愚痴も少しはマシになるだろうと思ったからだ。
結果、夫の深酒と愚痴は相変わらずであったが、狭い部屋がすっきりして、心なしか風通しがよくなり、Mさんの気分が少し良くなった。空間の整理整頓は、精神の整理整頓にも効果的である。子供たちだけの部屋も確保できたので、しばらくの間は、これでやり過ごすつもりでいる。
余談だが、Mさんが仲の良い友人たちにSNSで夫在宅の憂鬱さを愚痴ると、賛同の意を唱える返信が立て続けに入り、スマートフォンの画面には、同様の愚痴やつぶやきが次から次へと寄せられてきた。どこの家庭も同じような悩みがあるようだ。
一刻も早くこの災厄が去ることを切に祈る。
この記事を書いた人
精神科医
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒業。精神医療の現場に立ち会う医師の経験をもと雑誌などで執筆活動を行っている。著書に『素朴に生きる人が残る』(大和書房)、『医者がすすめる不養生』(新潮社)などがある。