街の活性化に必要なものは何か?(2/3ページ)
川久保文佳
2019/12/20
対策は規制ではなく、街の整備
これは京都市も同様で、京都市の簡易宿泊所に対する要件として、「9人以下で構成される1組の宿泊者に、施設の全てを利用させる簡易宿所」には、
①施設内に玄関帳場を設置する場合は、職員を施設内部に駐在する
②施設外に玄関帳場を設置する場合は、施設外の玄関帳場か宿泊施設まで10分以内で到着することができる場所(おおむね800メートル以内)に駐在する
③京町家の場合は、宿泊施設まで10分以内で到着することができる場所(おおむね800メートル以内)に職員を駐在する
という要件、かつ電話機やビデオカメラ、鍵などの構造設備があることが条件とされています。
インバウンドが好調な背景には、ホテル、旅館、簡易宿泊所、民泊などすべての事業者の一つひとつのサービスがリピート客を増やしてきた結果でもあります。しかし、観光消費額の増大した街では、街のインフラの整備へ進むのではなく、制度の引き締めによってこうした事業者がやむなく撤退していくという思わぬ形になっています。
通常、どんな事業でもスタートアップ時はトライ&エラーで修正をしながら進んでいきます。机上でのプランは時として意味をなさない場合もあります。まさにインバウンドにおいても、いろいろなことは現場で起きています。
空き家対策~シングルマザー向け下宿(シェアハウス)転用
山中真奈さんとスタッフ
空き家対策については、さまざまな取り組みがなされています。その1つとして東京都世田谷区の事例を紹介します。
世田谷区というと高級住宅宅地というイメージがありますが、世田谷区でも空き家は地域の問題になっています。そのため区では、実際の空き家を数グループで訪問し、解決策を探るワークショップなども行うなど、さまざまな支援を行っています。
そんな取り組みの1つが、子育てしやすい環境づくりを目標にした子育て支援です。
区では「せたがや子育て応援アプリ」を配信し、使われていない空き家に子ども食堂として開放する民間団体の支援なども行っています。
その1つが山中真奈さんが上用賀で立ち上げたシングルマザー向け下宿です。
山中さんは4年間の不動産会社で勤務し、15年に独立。自身の子どもの頃の寂しい経験から「シングルキッズ(=ひとり親で育つこども)を最高にHAPPYに!」をミッションとして、シングルマザー下宿「MANAHAOUSE」をオープンしました。
この記事を書いた人
一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事
一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事 北海道函館市生まれ。現在の札幌国際大学 卒業後、リクルート住宅情報事業部にてライターを務めた後、IT企業を経て不動産関連事業へ転身。その一方で、化粧品とサプリメントのコンサルティングや専門家としてのアドバイザー務める。海外派遣先では、フィリピン・タイ・カンボジア・マレーシアなどで日本への輸出入をテーマにセミナーを行うなどマルチに活動している。