「最先端」だからこそ、填まる陥穽(3/3ページ)
遠山 高史
2019/12/07
こういったITの穴は、あちこちに空いている。システムを作るのも、使うのも人間だと思えば、それに頼り切るということがそもそもの間違いである。
どんなものにも、人間が関わる以上、リスクはあり、完全とは言えない。
その後のK医師であるが、この出来事で懲りたかと思えば、今度はスマートフォンで開け閉めできるようにしようかと思案中だそうで、相変わらずITの素晴らしさを説いて回っている。
私は、よっぽど、スマートフォンを落とした時は、どうするのかと聞きたかったが、野暮なことだと思って飲み込んだ。
この記事を書いた人
精神科医
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒業。精神医療の現場に立ち会う医師の経験をもと雑誌などで執筆活動を行っている。著書に『素朴に生きる人が残る』(大和書房)、『医者がすすめる不養生』(新潮社)などがある。