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「家」の研究――黒田家

暗愚、押しつけ養子、早世、すり替え…天下の軍師の家も跡継ぎはままならず(3/3ページ)

菊地浩之菊地浩之

2019/10/25

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結局、黒田家の子孫はどうなったのか?

薩摩の島津家といえば、2018年の大河ドラマ「西郷(せご)どん」にも出てきた、幕末薩摩の英邁君主・島津斉彬(なりあきら。ドラマでは渡辺謙)が有名である。斉彬は長溥の兄の曾孫にあたるが、二人はわずか2歳しか違わず仲がよく、福岡藩と薩摩藩も親密な関係を深めていく。

ところが、斉彬が死んで、異母弟・島津久光(ひさみつ。ドラマでは青木崇高)が藩政を掌握すると、長溥は久光とそりが合わず、一転して福岡藩と薩摩藩は対立するようになってしまう。それが理由で、福岡藩は討幕運動に乗り遅れてしまったという説がある。

そんなわけで、長溥は斉彬とキャラクターが似ていたようだが、地元福岡での評価は余りよくないらしい。長溥にも子がなかったが、時は幕末で、幕府も「御三卿」から養子を押し付けるような力はなくなっていた。そこで、津(つ)藩主・藤堂高猷(とうどう たかゆき)の3男・黒田長知(ながとも)を養子に迎えた。戦国時代に活躍した藤堂高虎(たかとら)の子孫である(血筋としては、高虎の弟の末裔)。

長知以降、黒田家は男子が続き、他家から養子を迎えることなく、現代に至っている。実は、藩祖・黒田長政は、藤堂高虎のことを嫌っていたのだという。嫌いなヤツの子孫が、自分の子孫になるとは思ってもみなかったに違いない。

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この記事を書いた人

1963年北海道生まれ。国学院大学経済学部を卒業後、ソフトウェア会社に入社。勤務の傍ら、論文・著作を発表。専門は企業集団、企業系列の研究。2005-06年、明治学院大学経済学部非常勤講師を兼務。06年、国学院大学博士(経済学)号を取得。著書に『最新版 日本の15大財閥』『三井・三菱・住友・芙蓉・三和・一勧 日本の六大企業集団』『徳川家臣団の謎』『織田家臣団の謎』(いずれも角川書店)『図ですぐわかる! 日本100大企業の系譜』(メディアファクトリー新書)など多数。

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