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【京都で愉しむセカンドライフ】火の神聖さを実感させられる、奇祭「鞍馬の火祭」(1/2ページ)

奥村 彰太郎奥村 彰太郎

2020/10/05

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鞍馬駅の天狗モニュメント/©︎奥村彰太郎

人気の「田の字エリア」で暮らす

京都で暮らすことを考え始めてから、旅行を兼ねて物件探しをした。インターネットでの検索や、知り合いに情報をもらいながら賃貸と購入の両面で検討した。

不動産の広告を見ると、人気地区を「田の字エリア」という表現が使われていて、四条烏丸の交差点を中心に、東は河原町通、西は堀川通、北は御池通、南は五条通に囲まれた地区を指すのだそうだ。「田の字エリア」は、碁盤の目の中心で利便性が良いが、一般的に間口が狭く奥行きのある土地に建てられているので、眺望の良い物件が少なく、なかなか気に入ったものに出合わなかった。

物件探しを始めて2年余り、たまたま、田の字エリアで、東山と鴨川の眺望が得られるマンションに巡りあった。京都駅からタクシーで1000円以内の距離、四条河原町や祇園には徒歩で行ける立地に魅力を感じた。還暦を過ぎていたがフリーランスで仕事を続けているので、住宅ローンを借りることができ購入を決めた。

住まいから歩いて30分圏内には名所旧跡が見学でき、鴨川の遊歩道を自転車で走れば、上賀茂神社や下鴨神社へも気軽に行ける。さらに嵐山方面は阪急、伏見や宇治には京阪など電車を利用すれば広範囲の観光が楽しめる。私の京都ライフ拠点はそんな場所だ。

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大松明の炎に圧倒される

今回取り上げる鞍馬は、叡山電車鞍馬線の終点。京都の中心から1時間ほどかかるので普段は行かない所だが、「鞍馬の火祭」は一度見てみたいと思い、昨年10月に初めて見物に出かけた。今年はコロナ禍の影響で火祭の開催は中止、残念ながら見られないので、昨年の様子をお伝えしたい。

鞍馬の火祭は迫力ある神事だ。日が暮れると集落の家々の軒先に置かれた篝火(かがりび)が焚かれ、薪がパチパチと音を立て煙が漂ってくる。

その中を、長さ4メートル程、重さ70~80キロある大きな松明(たいまつ)を男衆3~4人がかりで担いで練り歩く。子どもや女性も小さな松明を持ち行列に加わる。 


松明をもった子ども

男衆は鉢巻きを締め、褌(ふんどし)姿で「下がり」と呼ばれる紐状の腰巻に黒の締込み(帯)を巻く。「船頭篭手(ごて)」と呼ばれる肩と袖だけの柄物の肌着を着て、その上に「肩当て」を乗せて松明を担ぐ。


伝統的な装束で歩く男衆

「サイレイヤ、サイリョウ」

と掛け声をかけながら練り歩く。掛け声は「祭礼や祭礼」の意味と観光案内に書かれていたが、地元の人から「祭礼や最良」と聞いた。

松明が目の前を通ると顔が熱く感じるぐらい火の勢いがあり、火の粉も飛び散る。裸に近い状態の担ぎ手が火傷をするのではと心配になった。


大松明の炎

燃えた松明が行き交うだけに、一歩間違えば火災になることも想定され、消防隊や消防団が待機しているが、火を扱い慣れた町衆が見事に祭りを進行する。たくさんの松明の炎が揺れ動き、沿道が火の海になった錯覚に陥る。火が神聖なものであることを実感できる光景だ。

 
沿道の炎

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラー

1953年東京生まれ、東京都立大学卒業、株式会社リクルートに入社。進学や住宅の情報誌の営業や企画・人事・総務などの管理職を務め、1995年マネー情報誌『あるじゃん』を創刊。発行人を務めた後、2004 年 ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラーの資格を活かし、“キャリアとお金”のアドバイザーとして独立。企業研修の講師や個別相談を中心に活動中。大学の非常勤講師も務める。東京と京都のデュアルライフを実践中。

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