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「知識ゼロからの民泊ビジネスがっちり成功術」 鶴岡真緒さんに聞く

4000円で始めて12件を運営中! 「MAO流Airbnb」の極意とは?(2/2ページ)

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不動産会社や大家さんをどう説得したのか?


この部屋も鶴岡さんの手にかかると、おしゃれで居心地のいい空間に

——説得といえば、Airbnbがまだ認知されていない当時、物件を借りるために不動産会社やオーナーさんを説得するのは大変だったのでは?

鶴岡 いえ、何の問題もありませんでした。当時は、Airbnbがほとんど知られていなかったので、いまのようにトラブルが起こるなどといったマイナスのイメージもなかったんです。それに、そもそもAirbnbがどういうものか、民泊がどういうものかを説明しようとしても、まったく理解してもらえませんでした。だから、理解してもらうのはあきらめて、「外国人の友達がたくさん泊まりにくるので、セカンドハウス的に部屋を借りたい」と伝えて、外国人入居者を受け入れている物件を紹介してもらったんです。

Airbnb用の物件は、普通の入居者だったら避けるような条件が悪い部屋でもいいんです。日当たりが悪くても、ユニットバスでも、管理が悪くても問題ありません。だから、「借り手のない部屋を紹介してください」というお願いもしてみました。

借り手のない物件で、不動産会社もオーナーさんも困っているので、敷金・礼金もなし、家賃も下げてくれて、フリーレンとまでつけてくれてと、至れり尽くせりで貸してもらえました。だって、借り手がいないんですから、お互いにWin-Winなわけです。もちろん、いまはAirbnbがこれだけ認知されて、状況はすっかり変わってしまっていますが。

2000組以上のゲストを受け入れて、トラブルはゼロ!

——Airbnbが認知されただけでなく、住民とのトラブルが多いなどマイナスのイメージが強くなってしまっていますね。

鶴岡 「トラブルが起こる」「騒音がすごい」「ゴミ捨てのマナーがなってない」といったバッドニュースばかりが流れてしまっています。でも、少なくとも私の部屋ではトラブルはまったくありません。これまでに2000組以上のゲストを受け入れていますが、トラブルらしいトラブルは起きたことがないんです。

もちろん、近所からクレームが入ったこともないですし、ゴミ捨てのマナーが問題になったこともありません。それどころか、私のところに来てくれるゲストは、半分以上の人が帰る前に部屋を掃除してくれるんですよ。

——トラブルのイメージとは真逆ですね。鶴岡さんの部屋だけが特別なのでしょうか?

鶴岡 ほかの方の部屋のことはわかりませんが、私はいいゲストとご縁があるんだと勝手に思っています。というのも、部屋のつくり方や説明文の書き方、部屋の写真の撮り方、それにメールのやり取りなど、ゲストとの接点はいろいろありますが、「ゲストに喜んでもらいたい」という気持ちは自然と伝わるものですよね。

最初にお話ししたように、私はとにかく人が好きで、ゲストに喜んでもらいたいというのが基本スタンスなので、それを相手も感じてくれているんじゃないかと思います。だって、英語がよくわからなくても、「日本を楽しんでもらいたいから、できるかぎり準備をして迎え入れるからね」という気持ちをもってやり取りしていれば、相手も部屋を汚したまま帰るなんてことはないですよね。なかには、掃除だけでなく、シーツの洗濯までしてくれる人もいるほどです。

京都のゲストにはおもてなしの気持ちをメールで伝える
——ゲストも、鶴岡さんの気持ちに応えてくれているようですね。京都にも部屋をお持ちですが、直接顔を合わせることがむずかしい京都の場合は、どうやってゲストをもてなしているのですか?

鶴岡 京都のゲストに関しては、メールのやり取りでおもてなしの気持ちを伝えています。たとえば、「今日はどこに行ったの?」「何が楽しかった?」「好きな場所はどこ?」といったメールを送るんです。

——すべてのゲストとやり取りするんですか? かなりの手間がかかるのでは?

鶴岡 さすがに一人ひとりに対して文面を考えていたら時間がいくらあっても足りないので、実は、こちらから送るメールについては、全部、定型文にしています。その定型文のなかから、1泊目はこのメール、2泊目はこのメールを送るというルールを決めているんです。

それから、ゲストにお気に入りの場所や旅の感想を教えてもらうための定型文もあります。「あなたのお気に入りを、次のゲストに案内してあげたいから教えてほしい」と頼めば、みんな喜んで教えてくれます。次のゲストに教えてあげるといっても、書いてもらったメールの文面をコピペするだけですから、本当にちょっとした手間だけでできてしまいます。でも、そのちょっとした手間をかけるだけで、「グレイト!」って喜んでくれるんですね。

——そのちょっとした手間をかけるかどうかが大切なんですね。

鶴岡 本当にちょっとした手間なんですが、私のようなことをしている人は少ないですよね。ゲストも本当に喜んでくれて、今日はこんなところに行ってきたよって教えてくれたり、写真を送ってくれたり。ときには「MAOもいまから来いよ!」なんていうメールが送られてくることもあります。「私は東京だから」って返事をすると、「Oh! そうだった」みたいな(笑)。

外国人ゲストを受け入れるというと、ちょっと身構えてしまうかもしれませんが、日本を選んで観光に来てくれたゲストを「おもてなししたい!」という気持ちと、ちょっとした運営のコツがあれば誰でもできます。英語もできない、資金もない、不動産もなかったシングルマザーの私でも、自宅の私の寝室をゲストハウスにしたことに始まり、いまでは東京に9件、京都に3件の計12件を運営しています。

ゲストに「ありがとう。MAOの部屋に泊まって楽しく過ごせたよ」って喜んでもらえることが何よりもうれしいんです。こんなに楽しみながらできるビジネスは、ほかにはありませんね!

後編は、7月25日(月)の公開予定です!

今回の「この人」は…

鶴岡真緒(つるおか・まお)さん

おもてなしbnb代表( http://www.omotenashibnb.com )
Airbnbアドバイザー
千葉県生まれ。シングルマザーとして、子育てと結婚相談所での仕事を両立させていた2014年4月、偶然、民泊の新しいスタイルAirbnbを知る。Airbnbのコンセプト「190カ国超の地元の家で、暮らすように旅をしよう」に共感し、自宅の1室をゲストハウスとするところからスタート。瞬く間に稼働率100%を達成する。独自のノウハウで築き上げた「MAO流おもてなし術」が話題を呼び、東京、京都などで複数のゲストハウスを運勢するに至る。現在もゲストハウスを運営しながら、稼働率を上げるセミナーや実践的な部屋づくりセミナーなどを通じて、Airbnb入門者にノウハウをアドバイスしている。

「知識ゼロからの民泊ビジネス がっちり成功術」
鶴岡真緒 著

2016年2月刊行
定価 本体 1,500円+税
四六判 並製 192ページ
ISBN 978-4-8284-1866-7
発売 ビジネス社( http://www.business-sha.co.jp/ )
★Amazonのページはこちら!
https://www.amazon.co.jp/dp/4828418660

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この記事を書いた人

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