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解禁か規制強化か、高まる需要に行政はどう動く!?

それでも無視できない、「民泊」ビジネスが秘める大きな可能性(2/2ページ)

尾嶋健信尾嶋健信

2016/03/30

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ゴールデンルート周辺で民泊は定着する!?

とはいえ、民泊事業が日本全国どこででも盛んになる、ということは考えられません。なぜなら、民泊事業の基本は、訪日外国人旅行者を対象にしたビジネスだから。つまり、外国人旅行者がやってこないような地域では、民泊事業は成立しにくいのです。

現在、日本を訪れる外国人旅行者には、「ゴールデンルート」と呼ばれる、主要な観光ルートが存在します。一般的な例でいえば、羽田空港か成田空港から来日し、東京周辺の東京ディズニーランド、浅草、東京スカイツリー、秋葉原、上野公園の動物園と桜、原宿、新宿、渋谷交差点などを観光して、箱根か富士山を経由して名古屋、京都、大阪を観光し、関西国際空港から帰国する、というもの。

また、「ドラゴンルート」と呼ばれるルートもあります。これは、伊勢神宮や熊野古道から出発し、飛騨高山や白川郷を経て、金沢に至るルート。道順をたどると龍の姿になるため縁起がいいとされ、「昇龍道」の別名で、特に中国人旅行者に人気があります。

いずれにしても、訪日外国人旅行者が宿を取るとすれば、これらゴールデンルート周辺か、ドラゴンルート周辺に限られることになります。つまり、これらの地域であれば、近い将来、民泊事業が解禁になったとき、ビジネスとして成立しやすいことになります。

逆にいえば、これらの地域において、今後「民泊」という宿泊スタイルが定着していくことも予想されます。

前回、この民泊事業を不動産投資とからめて紹介しましたが、その視点は今後も持ち続ける必要があります。個人が用意した不動産をAirbnbなどに登録して民泊事業に活用すれば、従来の賃貸経営を上回る利益を上げられるからです。

ただし、その場合も、あくまでその不動産物件が、上記のルート周辺に存在することが必要条件になりますが。

ちなみにいま、外国人旅行者向けの不動産投資先として、意外に狙い目なのが沖縄です。というのも、日本政府は中国人富裕層向けに、「沖縄・東北3県観光数次査証」を発行しているからです。

この査証(ビザ)は、「沖縄・岩手・宮城・福島のいずれかに1泊以上すれば、3年間何度でも来日することが可能」になるもの。沖縄振興と震災復興を目的とした日本政府の措置ですが、このビザを利用する中国人の多くはいま、沖縄観光に訪れているのです。そのため、観光シーズン以外閉鎖されていた海辺のペンションなども、外国人旅行者向け宿泊所として稼働しており、民泊ビジネスへと大きく発展しそうな気配を見せているのです。

このように大きな可能性を秘めている民泊ですが、現在のところ、国家戦略特区を除いては「グレー」なことに変わりはなく、実際に旅館業法違反で摘発されたケースもゼロではありません。そして、ホテル業界などにとって民泊の規制緩和は歓迎できるものではないはずです。それらのことを念頭において、行政の動きを注視していきましょう。

 

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この記事を書いた人

満室経営株式会社 代表取締役

1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。

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