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法的規制やトラブルのリスクも

なぜAirbnbはグレーなビジネスといわれるのか?(2/2ページ)

尾嶋健信尾嶋健信

2016/03/16

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外国人旅行者の騒音・ゴミ問題

わが国における、Airbnbなどの民泊にひそむ問題点はまだあります。それは、外国人旅行者と近隣住民との間で、さまざまなトラブルが発生すること。

まずひとつ目が騒音トラブルです。

ご存知のとおり、最近のキャリーバッグの多くは車輪つきで、引いて運ぶときにガラガラ音を発生させます。このガラガラ音、空港や鉄道駅、商業施設内ではそれほど耳につきませんが、静かな住宅街ではかなり耳障りに感じるのも事実。

来日する外国人旅行者のなかには、深夜・早朝に発着する格安航空会社(LCC)の利用者も多いため、数人から十数人のグループが近隣住民の寝静まった時間帯に、住宅街をガラガラガラガラ移動すると、当然、住民側から苦情が寄せられます。

また、外国人の多くは日本人よりかなり声高に喋りますから、民泊に利用されるアパート・マンションの共用部では、深夜と早朝、彼らの話し声が鳴り響くことに。これも多くの場合、近所迷惑になります。

民泊のふたつ目のトラブルがゴミ問題です。

アメリカや中国など多くの国は、日本ほどゴミの分別にやかましくありません。そのため彼らは、燃えるゴミも燃えないゴミも分別することなく、何でもゴミ箱にポイポイ捨ててしまいます。

それが空港など公共機関のゴミ箱であれば、それほど大きな問題にはなりませんが、住宅街でこれをやられると、街の美観を損なうだけでなく、悪臭の元凶に。また、禁煙区域内でタバコを吸う外国人や、タバコをポイ捨てする外国人も多く、こちらも大きな問題になっています。

民泊の3つ目のトラブルが、事故や事件です。

たとえば2015年7月、渋谷区の賃貸マンション12階から4歳の女の子が転落して死亡しました。女の子は中国人旅行者で、Airbnbを利用した母親とこのマンションに泊まっていました。

Airbnbでこうした事故・事件が発生するのは、いまのところ、ごくまれなケースとはいえ、リスクがあることは十分に理解しておかなければなりません。

今後の動向に注目

ただし、Airbnbでは最初の会員登録の際、パスポート・メールアドレス・SNS・携帯電話機の4つで認証して本人確認をしています。つまりAirbnbでは、ホストもゲストも、身元の明らかな者同士がマッチングするシステムになっているのです。

そうした認証がきちんとなされていれば、ゲストが泊まった部屋で盗撮されたり、カードのパスワードを盗み見られたりするリスクは低いといわれています。ホストにしても、貸した部屋が犯罪に利用されるなどのリスクもある程度は避けられそうです。加えて、両者の間にAirbnb社が入ることで、料金面でのトラブルも発生しにくいといわれています。

ごくまれにですが、宿泊した部屋のカギをーゲストが紛失してしまうケースや、宿泊した部屋の炊飯ジャーや電子レンジを持ち逃げするゲストもいるとか。とはいえ、そうした場合は、ゲストから事前に預かっている保証金や、Airbnbで入っている保険で補償されることになっています。

いずれにしろ、今後、規制が緩和されるのか、それともさまざまな事情から一定の歯止めが残されたままになるのか、今後の動向を注目していきたいところです。

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この記事を書いた人

満室経営株式会社 代表取締役

1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。

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