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なぜこれほど注目されているのか?

いまさら聞けない、話題の「Airbnb」ってナニ?(2/2ページ)

尾嶋健信尾嶋健信

2016/03/09

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急増する外国人旅行者は空き家に泊まればいい

話を冒頭に戻しましょう。ここ数年、民泊やAirbnbという言葉を耳にする機会が増えたのはなぜか。それは、ここ数年間で訪日外国人旅行者数が急増していることと無関係ではありません。

日本政府は、かなり早い段階から「観光立国」というコンセプトを打ち出しながら、しかし日本を訪れる外国人旅行者数はなかなか増えませんでした。1990年代は300〜500万人前後。2000年以降も400〜800万人の間で推移していました。

ところが、アベノミクスで円安が進み、LCC(格安航空会社)の普及や日本政府のビザ発給要件緩和なども重なり、2012年から訪日外国人旅行者は急増しています。2013年には、日本政府の悲願だった年間1000万人という大台を突破。さらに2014年には1341万人(前年比約30パーセント増)、2015年には1973万人(前年比約47パーセント増)と、いま訪日外国人の数は爆発的に増えています。日本政府は当初、「東京オリンピックの開催される2020年までに訪日外国人旅行者数2000万人を目指す」としていましたが、急遽「目標3000万人」に上方修正するほど。

こうした状況を受けた表面化したのが、日本国内の、特に大都市圏における宿泊施設の圧倒的な不足です。観光庁の発表によれば、国内ホテル・旅館への2015年・年間宿泊数は、史上初めて5億泊を超え、外国人の宿泊は前年比48.1パーセント増の6637万泊に。客室稼働率は実に大阪府で85.2パーセント、東京都で82.3パーセントに達しました。

客室稼働率がここまで高いと、日曜の夜も満室で予約が取れない状態、ということになります。特に、外国人旅行者からよく聞かれる不満は、1家族5〜6人で泊まれる大部屋の施設が少ないこと、だそうです。

その一方で、日本は2010年ごろから人口減少社会に突入しており、2015年の国勢調査でも人口減少が確認されました。にもかかわらず、新築マンションや新築戸建て住宅は毎年800万戸以上建てられ続けているため、全国で空き家や空室が増えるのは当たり前。いまや、全国に820万戸以上の空き家が存在し、空き家率は全体の13.5パーセントに(2013年総務省)。

こうした空き家は大都市圏で数多く発生しており、東京都・大阪府・神奈川県・愛知県の4都府県で全体の約3割に。賃貸物件に限ってみると、空室率は20パーセント以上になります。今後は住宅需要の低迷とともに、空き家は年々増え続けていくでしょう。

そこで、いま大いに注目を集めているのが民泊です。大都市圏で増え続ける空き家を、増え続ける外国人旅行者の宿泊施設として利用できれば、双方がwin-winの関係になります。

事実、日本政府は、羽田空港がある東京都大田区を「国家戦略特区」に指定し、2016年1月から旅行業法の規定を外して、民泊を解禁しました。また、大阪府でも民泊解禁の準備が進められており、この動きは今後全国に拡大していくことが予想されます。

不動産投資のプロである私が民泊に注目しているのも、まさにこの点にあります。すなわち、民泊には大きなビジネスチャンスが眠っているから。

たとえば、賃貸マンションの空室を外国人旅行者向け宿泊施設として活用できれば、単なる空室対策以上の付加価値を持たせることができるはずです。そして、賃貸マンションオーナーが外国人旅行者にアクセスする手段としては、Airbnbのサイトを利用するのがもっとも効果的でしょう。

とはいえ、民泊もAirbnbも、いいことばかりではありません。次回は、Airbnbが持つダークな部分についてもお話ししていきたいと思います。

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この記事を書いた人

満室経営株式会社 代表取締役

1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。

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