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賃貸経営における永遠のテーマ「空室対策」——リフォーム工事費のコストダウン(2/2ページ)

廣田 裕司廣田 裕司

2022/02/22

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専門業者に直接発注する ~分離発注~

リフォーム会社は、すべての工事を自社で施工するのではなく、クロス工事、設備工事、電気工事、ルームクリーニングなど、それぞれ専門の工事業者へ発注し、各々の工事業者間の調整を行います。当然ですが、リフォーム会社の見積金額は、専門工事業者の工事費にリフォーム会社の管理費を加味して算出しています。

大家さんが、工事ごとに専門工事業者に直接発注すれば、リフォーム会社の管理費分だけ、コストダウンになる可能性があります。この方法は「分離発注」とも言われています。

リフォーム会社は、専門工事業者間の日程、施工範囲の調整、品質管理の業務を担っていますが、分離発注をすることで、これらの業務を大家さん自身でやる必要があります。一括してリフォーム会社へ発注するときより、手間がかかります。大家業以外のお仕事をお持ちの方は、分離発注をすることは大変だと思います。

また、工事業者間の調整がうまくできないと、工事の期間が長くなることもありますし、工事の仕上がりに影響が出ることもあります。日程調整に手間取り工期が長くなると、入居者獲得の機会損失になり、分離発注で工事費をコストダウンしても、その効果が相殺されてしまうこともあります。

工事に関する知識がない人や経験の浅い人には、あまりお勧めできる方法ではありません。

資材を自ら調達する ~施主支給~

通常リフォーム会社は、工事に必要な設備や建材を仕入れ、現地で施工しますが、この設備や建材を大家さん(施主)が仕入れ、リフォーム会社へ支給することを「施主支給」と言われています。

設備や建材を安く仕入れられれば、コストダウンになる可能性があります。現在は、ホームセンターやインターネットで設備や建材を簡単に入手することが可能です。

施主支給をするときは、リフォーム会社の了承が必要です。リフォーム会社によっては施主支給の設備や建材を受け入れてくれない会社もあります。

さらに、設備や建材が現場で施工可能なのか、サイズや仕様を確認のうえ発注する必要があります。

設備や建材は、サイズ的に大きいものが多いので、現場に直接納入するように手配します。現場(空室)は、通常無人で施錠されている訳ですから、納入される日程に合わせて現地に出向き、受け取りが必要になります。また、工事の日程に合わせて、納期を調整する必要もあります。

支給した設備や建材に不具合があった場合、大家さんの責任で対応する必要があります。

施主支給は、コストダウンできる可能性はありますが、納期の調整、現場での受け取り、不具合が発生したときの対応など、手間が増えることも考慮して検討すべきです。

まとめ

リフォーム工事費のコストダウンは、賃貸経営で重要なことの一つだと思います。しかし、コストダウンができても、タイムリーに必要な工事を実施しないと、稼働率にも影響します。特に繁忙期では、リフォーム工事の完了タイミングが、入居者募集へ大きく影響します。

リフォーム工事費のコストダウンで、大家さんの手間が増えることになります。単純に工事費だけに注目するのではなく、工事を実施するための資金の確保や、入居者募集への影響を考慮して、総合的に判断してコストダウンを実施するようにしましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

「合同会社アップ」代表 「行動する大家さんの会」代表

妻の実家の賃貸事業を引き継ぎ、賃貸経営に関わるようになる。サラリーマン時代の経験を活かし、原状回復費の低減、稼働率アップに成功。賃貸経営での経験をベースにセミナー講師としても活動。2014年大家仲間と一緒に、管理会社「みまもルーム」設立に参加。大家さんとしての経験、不動産業者としての経験を活かし、大家さんの賃貸経営をサポートする会社「合同会社アップ」を設立。大家さんのサポート活動を展開中。

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