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味方のはずが強力なライバル? 管理会社と付き合うために賃貸住宅オーナーが知っておきたいこと(3/4ページ)

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2.ありがたい入居者は管理会社にとって煙たい存在?

いまどきの賃貸住宅オーナーならば、テナント・リテンションの重要性についてよく知っている。

テナント・リテンションとは、賃貸物件が借主で埋まった状態が維持されることをいう。すなわち、入居者にはなるべく長い期間にわたって物件に住んでもらった方がよいとする考え方だ。

逆に、頻繁な退去の発生はオーナーにとって悪夢となる。

なぜなら、そのたびに新規の入居者募集コスト、および、物件の原状回復コストが発生するのみならず、空室による収益機会の逸失までもが生じてしまう。そのため、突発的な事故や災害以外では、賃貸経営にとっては入居者の退去こそが、もっとも大きなダメージとなるのがその理由だ。

ところが、逆に多くの管理会社にとって、入居者の退去はよい収益のチャンスとなる。

新規募集にともなう仲介手数料や、上乗せしてオーナーからもらうインセンティブ、原状回復・リフォーム・室内クリーニングに絡んでの手配マージン、さらには(非常に評判の悪い)カギ交換手数料や室内消毒料金の徴収、加えて入居者が加入する賃貸居住者用保険や家賃債務保証契約の取次ぎによって生じる手数料(僅かだが)に至るまで、さまざまな実入りが一気に発生するかたちとなるからだ。

もっとも、管理会社側としてみれば、それらにともなっての経費等、マイナスも同時に生じるため、いわゆる丸儲けというわけでは決してない。そのうえで、「普段の安い管理料の代わりをここでいただくんです。殺生なこと言わないでください」ということにも実情はなるのかもしれないが、この場面においてオーナーとはベクトルが完全に逆方向を向いている。

すなわち、テナント・リテンションを巡っての管理会社とオーナーの立場は理論的には利益相反の関係にあるわけだ。

要は、長く住み続けてくれる入居者は、多くの管理会社の立場からは理論上あまり美味しくない。このことは賃貸住宅オーナーが管理会社と付き合ううえで、内なる胸のノートにひそかにメモしておくべきことだろう。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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