「猫付きマンション・シェアハウス」に続いて広がる猫との共生住宅「猫付き賃貸併用住宅」(2/2ページ)
山本 葉子
2021/05/27
お困りごとのサポートはしっかりと
「猫付き――」コンセプトは、「猫可」ではなく「猫との共生」で、この主旨に賛同していただけるオーナーさんで、すでに猫を飼っている方々でした。「猫付き賃貸併用住宅」もオーナーさん(購入者)はもとより、賃貸住宅への入居者も「猫の預かり飼育」をしていただける方になります。
そのためオーナーさん、入居者さん共に飼育者として適切な方かどうかの面談が必要になります。とはいっても、実際に猫を預かっていただくようになれば、飼育相談などについてはこちらでフルサポートします。
ですので、猫の飼育自体が初めての方・転勤があるお仕事の方など、猫との暮らしを望んでいても不安があったり、ずっと先のことを考えて踏み切れなかったりする方にも、検討しやすいシステムです。
物件の内装ですが、フロアはペット対応のフローリング。滑りにくく傷もつきにくい優れものです。また、腰高壁を採用して猫たちの爪研ぎによる壁へのダメージも回避。洗面台の下には猫のトイレスペースがあり、各部屋に猫ドアも付いています。
賃貸部分の壁面収納はキャットタワーとしても使える専用シェルフを入れて、楽しく便利に空間として活用します。そして、「猫付き――」で何よりも重要なのは、やはり逃走防止手段がしっかりしていることです。そこで玄関前にドアをもう一枚設置することで、毎日の出入りの際にも安心に出入りできるような内装になっています。
また、木造ではありますが、将来的に間取りを変更することもできるようになっています。
そのため、例えば、将来は賃貸部分を使って二世帯住宅にしたり、オーナーさんのスペースを広げて一戸建てに作り直すことも可能です。今、私たちのところには、こうした猫と共生するための住宅のお話が次々ときており、私が猫を保護するために自宅購入に踏み切った時代とはだいぶん違ってきたことを実感しています。
長期間にわたって無理なく猫との共生を維持して行ける居場所は、人にとっても猫にとっても大変ありがたいものです。今後も新たな「猫付き――」の企画も出てくると思いますが、今期は「猫付き賃貸併用住宅」に注目していきたいと思います。
この記事を書いた人
NPO法人東京キャットガーディアン 代表
東京都生まれ。2008年猫カフェスペースを設けた開放型シェルター(保護猫カフェ)を立ち上げ、2019年末までに7000頭以上の猫を里親に譲渡。住民が猫の預かりボランティアをする「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」を考案。「足りないのは愛情ではなくシステム」をモットーに保護猫活動を行っている。