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アパート・マンション 孤独死のあとに残されたペットをどう保護するか(1/3ページ)

山本 葉子山本 葉子

2020/11/27

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イメージ写真提供/NPO法人東京キャットガーディアン

高齢者ばかりではない 増える孤独死の現状

一人暮らしの人が増える中で、賃貸マンションやアパートでの孤独死が増えています。

実際、単身世帯は増加しており、こうした単身世帯で、誰にも知られず亡くなってしまう方が増えていくことは間違いないでしょう。グラフは65歳以上の孤独死の方の推移ですが、孤独死は何も高齢の方ばかりとは限りません。いずれも東京都監察医務院で取り扱った単身世帯の統計データですが、これを見ると分かるように、男性では40歳を超えると孤独死が急激に増えています。


出典/東京都監察医務院

孤独死については賃貸マンションやアパートのオーナーさんにとって、あまり考えたくないお話かと思います。でも、単身で暮らす入居者さんが病気やアクシデントで亡くなられることは、どんな賃貸住宅でもあり得ることで、実際に入居者が亡くなったあとに、ご相談をいただくことが年に何回かあります。

もちろんのことですが、私たち猫の保護団体に連絡が来るのですから、ご相談の内容はそこで飼育されていた猫たちたちについてです。私たちの団体に実際にあったあるご相談のお話をご紹介します。

 

部屋に残された猫 レスキューを求める電話

お電話がかかってきたのは、よく晴れた秋の日でした。

「アパートの部屋の中に猫たちがいるようなので、引き取ってもらうことはできるでしょうか」という内容のお問い合わせでした。これだけでは状況が分からないことから、

「猫がいるようなので……とは?」と私。
「はい、息子の借りている部屋で」
「何頭くらいでしょうか?」
「わかりません、動物を飼っていることも聞いてなかったので」
「息子さんとは、連絡が取れてないのですか?」
「実は……あの、亡くなっているようだと管理の方から電話があって、私たちもこれから向かうところでして」

それを聞いたときには、一瞬言葉が出ませんでした。慌ててお悔やみを申し上げ、「できる限りのことをします」とお伝えして、息子さんがお住まいの住所や、落ち合う目印の確認などをして、電話を切りました。

電話の話では保護に向かうための情報が少なすぎるので、とりあえず、ありったけの猫のレスキュー用品を車に積んで向かうことにしました。レスキュー用品というのは、猫の捕獲機(トラップ)とキャリーケージ、美味しい缶詰とおやつ・ブドウ糖・補液セット・タオル大小・ペットシーツ・手袋とビニール袋、それに輪ゴムなどなど。

健康体の猫たちなら捕獲するのは大変なはずですし、弱っている場合はその場でできる限りのケアをして命をつなぐ必要があります。それに対応するために必要なものが、このレスキュー用品です。また、こういうケースでは室内が荒れている可能性もあり、それに備えた準備も必要になります。

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この記事を書いた人

NPO法人東京キャットガーディアン 代表

東京都生まれ。2008年猫カフェスペースを設けた開放型シェルター(保護猫カフェ)を立ち上げ、2019年末までに7000頭以上の猫を里親に譲渡。住民が猫の預かりボランティアをする「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」を考案。「足りないのは愛情ではなくシステム」をモットーに保護猫活動を行っている。

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