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テレワークを経験すると…住まいを変えたくなる可能性が2倍、3倍に(2/2ページ)

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「テレワーク人口実態調査」の結果

そこで、この記事ではある資料をご紹介したいと思う。

上記、「テレワーク月間」や「テレワーク・デイズ」に併せて毎年行われている(実際にはそれらに先駆けて行われている)国による「テレワーク人口実態調査」の結果を記したレポートだ。

最新版となる令和2(20)年度分が、下記リンク先にて公開されている(21年3月19日公表)。

「国土交通省 テレワークの推進」
https://www.mlit.go.jp/toshi/daisei/telework_index.htm

調査規模の大きさを反映した、100ページ以上にも及ぶ詳細な報告書だが、内容はそれだけに緻密で堅牢だ。かといって、専門的で理解しにくいといった風でもない。

賃貸住宅を含む不動産市場にも大小のインパクトを与えているテレワークの広がりについて、現状を把握するため、基礎となる資料といってよいだろう。ぜひ目を通してみてほしい。

内容の一部をご紹介しよう。多数にわたる項目の中に、「新型コロナウイルス感染拡大に伴う働き方、住まい方への影響」というものがある。

そのなかで、「テレワーク」「コロナ」さらに「転居」の3つを絡めたデータが紹介されている。ここでの調査対象は、「雇用型就業者」の皆さん3万5727人だ。

なお、このなかには、要は勤め人である「雇用型テレワーカー」8205人が含まれている。企業などに属しながら、通勤せずに自宅などでテレワークしている方、または、その経験を持つ方である。すなわち、今回のコロナ禍でドッと世の中に増えた方々だ。

そこで、まずは上記、雇用型就業者の皆さん全体から、テレワーカーを除いた皆さんに(2万7522人)、コロナの影響を受けての「転居への意向」を尋ねると、答えはこうなる。

a「既に転居済み」…1.5%
b「転居に向けて具体的に検討中」…1.6%
c「実現可能性を含めて情報収集を始めたところ」…1.1%
d「転居の希望は漠然とあるが、特に何もしていない」…3.9%
e「転居の希望はあるが、都合により転居できない」…2.4%
f「転居の希望はない」…89.6%

ご覧のとおり、コロナ禍を受け、

・転居に向けて具体的な行動をとっているか、すでにとった方
…4.2%(a+b+c)

・行動の有無にかかわらず、転居の希望を抱いている(いた)方
…10.5%(a+b+c+d+e)

との結果になっている。次いで、今度は対象を雇用型テレワーカーとし、数字を拾ってみよう(8205人)。すると、様子はかなり違ってくる。

a「既に転居済み」…3.6%
b「転居に向けて具体的に検討中」…5.3%
c「実現可能性を含めて情報収集を始めたところ」…4.0%
d「転居の希望は漠然とあるが、特に何もしていない」…8.5%
e「転居の希望はあるが、都合により転居できない」…3.3%
f「転居の希望はない」…75.4%

・転居に向けて具体的な行動をとっているか、すでにとった方
…12.9%(a+b+c)

・行動の有無にかかわらず、転居の希望を抱いている(いた)方
…24.7%(a+b+c+d+e)

このとおり、「転居に向けて具体的な行動をとっているか、すでにとった方」では、後者(雇用型テレワーカー)の割合は、前者(非テレワーカー)の約3.07倍だ。

「行動の有無にかかわらず、転居の希望を抱いている(いた)方」では、後者が前者の約2.35倍となる。すなわち、同じ「コロナ下」という環境にありつつも、そこでのテレワーク経験の有無は、ある程度の違いで人々の考え方を分けている。

端的には、テレワーカーになったり、テレワークを経験したりすると、住まいを見直したくなる確率が上がる。一方、そうした経験がないと、人々はそこまで“焚き付け”られないようだ。テレワークの今後の広がりと定着の度合いが、やはり気になってくるところである。

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この記事を書いた人

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