ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

北海道でアパートの外廊下が崩落 施設賠償責任保険の必要性(2/2ページ)

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

施設賠償責任保険の必要性

ところで、こうした物件の老朽化や管理の不備などにより、入居者や第三者にケガを負わせたり死亡させたりした場合に備える保険があることをご存知だろうか。

それが「施設賠償責任保険」だ。

なお、検索サイトで「施設賠償責任保険」を検索すると、ビルからの落下物による被害、遊園地の乗り物による事故、工場の爆発など、大掛かりな施設にかかわっての事例や案内に行き当たることがあるが、この保険、実は賃貸住宅オーナーが自身の物件を対象に加入することもできるのだ。

少しややこしい言い回しとなるが

・被保険者が所有し、管理する施設において
・それらの欠陥や、管理、安全性の不備等による事故が生じ
・他人の身体や財物へ損害を与えた場合に
・被保険者(賃貸ではオーナー)が法律上の賠償責任を負うことになった際において
・賠償金や緊急費用、争訟費用等を補償してくれる

と、いうのがこの保険の概要だ。

そのため、「オーナーはぜひ加入すべき」との呼びかけが近年目立ってきているほか、はじめから賃貸住宅オーナー向けの保険として商品が作られ、PRされる例も目にするようになっている。

施設賠償責任保険では、通常、賃貸物件においては以下のような事故が補償の対象となる。

・建物の構造上の問題による火災が発生し、入居者さんにケガを負わせた
・物件のエレベーターが誤作動し、入居者さんにケガを負わせた
・物件の給排水設備に欠陥があり、入居者さんの家財に損害を与えた
・給湯器の欠陥によるガス爆発が起き、入居者さんを死傷させた
・床が滑りやすいエントランスで実際に事故が起こり、入居者さんがケガをした
・物件の外壁の一部が落下し、通行人にケガをさせた。隣家の車に損害を与えた

「通常」と前置きした通り、こうした補償については、ある保険では基本プランになっていても、ある保険では特約になっているといったことがありえるので注意してほしい。

今回の苫小牧のアパートオーナーも、過去の函館のオーナーも、加入していれば、起きた事故はまさにこの保険がカバーしてくれるといえるはずだ。

さらに、施設賠償責任保険は、補償金額の大きさに比べて保険料がおおむね安いことでも知られている。一例を挙げてみよう。

賠償責任 対人対物共通 1事故2億円の補償
保険期間 2年間
1棟分の保険料 12,000円

しかし、オーナーがこれに甘え、オーナーの責務から逃れようとするのはそもそも言語道断である。入居者に良質な住環境を提供するうえでも、日頃から物件のメンテナンスはきっちりと行いたいものだ。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン『ウチコミ!タイムズ』では住まいに関する素朴な疑問点や問題点、賃貸経営お役立ち情報や不動産市況、業界情報などを発信。さらには土地や空間にまつわるアカデミックなコンテンツも。また、エンタメ、カルチャー、グルメ、ライフスタイル情報も紹介していきます。

ページのトップへ

ウチコミ!