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賃貸経営――家賃交渉は慌てないよう日頃から想定しておく(2/2ページ)

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「働いていた会社が倒産。次の職場を見つけるまでの間、家賃の支払いが厳しくなった」「コロナの影響で帰省することに。数カ月留守にする間の家賃が負担になった」など、さきほどの「条件付き」の中には、まさに、こうしたケースでのオーナーの対応が含まれているのかもしれない。

ほかには、「入居して1週間後、同じ階、同じ間取りの部屋が、1万円安い賃料で入居者募集されていると判った」「同じ物件に住む方と仲良くなり、話の最中、先方と同じ間取りなのに、私の部屋の方が2万円も家賃が高いと判った」といったコメントも。

空室を埋めるための賃料値下げにより、こうした差が生じることは、上記ほどの金額にはならないにしても、実際にはよくある。

「家賃交渉後いくら値引きされましたか?」という問いに対しては、

「1,000円未満」…1%
「1,000~5,000円」…51%
「6,000~10,000円」…32%
「11,000~15,000円」…1%
「16,000~20,000円」…8%
「21,000~25,000円」…0%
「26,000~30,000円」…2%
「その他」…5%

と、1000円から1万円までが合わせて83%と大半を占めるかたちとなる。

大きな金額には見えないが5000円の値引きは、1回限りではない。1年間続けば、入居者にとっては6万円の節約となり、一方オーナーとしてはその分、当初の予定収入から消え去る。とはいえ、そもそも入居されなければその部屋に関しての収入はゼロだが……。

オーナーの立場からすると賃料値引きに際しては、たとえそれをせざるをえないにしても、大雑把などんぶり勘定での判断は禁物となる。

値引き交渉に際しては交渉発生のタイミングをあらかじめ予測しておく

さて、以上の家賃交渉だが、実際にオーナーが入居者から話を持ちかけられた際、判断を誤らないためには、「普段から交渉を想定しておく」ことが重要だ。

値引き交渉に際して、譲れない線、譲れる範囲、値引きにかわる代替案、値引きに対する条件案、さらには、それらの対応を行う理由、入居者へはどう説明するか、日頃からシミュレーションをする。また、交渉発生のタイミングをあらかじめ予測しておくことも大切だろう。

たとえば、契約更新日の接近はその代表だが、物件に隣接して建物が建ち、日当たりが大きく損なわれるといった物件価値へのダメージが生じたケースや、今回のコロナ禍のような、経済的危機が多くの人を襲うような状況、あるいは、前述の入居者の声の一部にもあったとおり、空室が長引く部屋の家賃を下げて募集した、といったケースも既存の入居者から賃料の値引きを求められる要因となる。

さらには、エアコンやガス機器、水まわりなど、設備の老朽化が進んでいるといった場合も、故障や不具合の発生にともなって、賃料の値引きが発生しやすいことを覚悟しておかなければならない。今年施行された改正民法(611条)も、それを後押ししている。

いざというときの判断ミスを防ぐためにも、日頃から心構えをしておきたい。

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