不人気物件をたちまち人気物件に変える「ホームステージング」のポイント(3/3ページ)
内村恵梨
2020/05/12
匂いで五感に訴える
ホームステージングの世界では、お部屋の印象は最初の6秒で決まる、とよく言われています。では、この6秒間で人が感知できる情報とは一体なんなのでしょうか。
実は“匂い”も非常に大きな情報なのです。
お部屋に入った瞬間に、日当たりや内装の色などの視覚的な情報をキャッチしながら同時に嗅覚を働かせて匂いをキャッチし、もっと言ってしまうと“気”のようなものを瞬時に判別しているものです。
実際ホームステージングされているお部屋は、匂いの演出にも細心の注意がはらわれています。
古いお部屋から下水臭がしたり、収納を開けた時に「ツン」とくるベニアの接着剤のような匂いがするともう第一印象からアウトです。
それでは、新築の住宅のいわゆる“新品の匂い”は、良い印象を持たれるのか、というと必ずしもそうとは言えません。
あらゆる建材が混ざり合った匂いを気持ち良いと感じるのか、不快に感じるのか人それぞれ。匂いに対する感受性は人それぞれだというところに、匂いのコントロールの難しさがあります。
実は、不動産や建築現場に慣れている人にとっては建材や接着剤、塗料の匂いが日常的なものであっても、一般の人にとっては非常に違和感がある匂いです。
新鮮な空気を吸ったあとの濁りのない嗅覚で、自分の家や管理している物件などの匂いを感じてみる必要は大いにありそうです。
不快な要素なる匂いがないかを確認し、さらにやりすぎない程度の香りの演出としてアロマなどをたいてみるのもいいかと思います。香りの種類は、ホテルのロビーなどが参考になるかもしれません。
照明による無意識の印象
照明による演出も、ホームステージングの基本手法の代表格です。
照明に強いこだわりのある人でなければ、普通は部屋の広さや間取り、日当たりなどに目がいっているので照明を意識している人は少ないかもしれません。でも、その無意識の部分で照明が人に与える印象は非常に大きいのです。
まず内見にきたお客様が部屋に入った瞬間に、ピカッと明るい照明の部屋にする事が肝(きも)!で、ブレーカーをオンにした瞬間に全灯が光る劇場型演出も効果があるのだとか。
白い光が部屋の隅々まで照らしているお部屋が、パッと目の前に現れると大変印象が良いといいます。
実際の生活では、最近のトレンドは隅々まで明るいというよりは局所照明を取り入れ、リラックスしたい場所には電球色を使うなど心地よさを優先する傾向にありますが、不動産の販売となると部屋を明るく見せることが欠かせないようです。
全体を明るく見せつつもフロアランプやスタンドライトなどの間接照明を置いておくと、均一的な照明だけでなくシーンによって使い分けるイメージが湧きやすくなるので、照明にもこだわって暮らしたいという方にアピールできるでしょう。
いかがでしたか?
今回はホームステージングのポイントについてご紹介しました。
Airbnbや一休.comなどでは、単なる民泊でなく、よりラグジュアリーさをプラスしたバケーションレンタルが増えています。そういったところに投稿されているお部屋はとても素敵に演出されているのでぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いた人
匠アカデミージャパン 事務局長 (運営:株式会社イマジンネクスト)
匠アカデミージャパンは2016年に開校した内装リノベーションのスクール。 単にDIYのノウハウを教えるスクールではなく「人生100年時代の大人の学び直し」の場として、副業やセカンドキャリア、定年後の生き生きとしたライフスタイルに生かせる技術を身につけることを提唱している。 講習内容は、クロスや床材の張り替えや、賃貸住宅大家さん向けワンルームの原状回復コースなど、まったくの経験のない方に対してDIYを超えた職人の技を伝授。照明プランニングや内装コーディネートのセミナーなども開催中。 http://www.takumi-ac.jp/