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シンガポールにおける海外不動産投資事情とは?

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安心して不動産投資ができる国

熱い注目を集めるアジア新興国の中にあって、不動産投資家の間で評価が上下しているのがシンガポールです。シンガポールは世界の富裕層が多く集まっていることで知られており、政治的・経済的に非常に安定した国です。中国やインドと比べれば大幅な成長は見込めないものの、先進国の中では順調に成長を続けている国に分類されます。このため中東や近隣諸国の投資家が好んで投資する国となっています。

シンガポールが不動産投資に有利と言われていた理由の一つは、外国人の不動産購入に対する規制が非常に少なかったから。取り引きの際に特別な税金を課せられたりすることがありませんでした。外国人に対しては、土地付き一戸建てやHDBフラット、コンドミニアムの一棟購入などに一定の規制がありますが、それを除けば外国人が不利になるような規制はなかったのです。

物件の譲渡や転売が容易なのも魅力でした。20%の支払いが済んでいれば、建築中の物件であっても契約を第三者に譲渡することが可能で、投資手法の選択肢を豊富にしていました。中古物件も3ヶ月間の法的手続き期間が経過すれば容易に転売することができました。しかも、キャピタルゲインは非課税。正確には、ビジネスと見なされない個人の取り引きについては不動産の売却益が非課税になります。シンガポールは2008年に相続税を全廃したので、相続税も非課税です。

これだけ見ると、海外から不動産投資を行うのに有利な条件が揃っているように思えます。しかし、最近では事情が変わってきたようです。

最大の要因は、2013年に加算印紙税の税率が変更され、外国人の不動産取得には15%もの税率が課せられるようになったことです。さらに、4年以内の住宅短期売買についても最大16%という高い印紙税率が課せられています。通常でも不動産取得者印紙税が約3%課されるので、外国人が不動産を購入するには18%もの印紙税を支払わなければなりません。短期売買であれば、最大34%の支払い。これでは投資用物件として成立しなくなってしまいます。

もっとも、商業用物件であれば印紙税はかかりません。しかし、シンガポールの賃貸物件は利回りが低く、商業用物件では2%程度という話もあります。このため、元々シンガポールの不動産投資はキャピタルゲイン狙い。賃貸の収入をローン返済に充てながら価格が上昇したらすぐ売却する、というのが一般的だったようです。

他にもシンガポールの投資物件は総じて高額、フルローンは不可で外国人は70%までしか使えない、地価が高騰しているという事情もあり、現在では投資に向かないと言われています。少なくとも、少ない資金しかない人には不向きな市場だと言えるでしょう。ただし、国自体のポテンシャルは高いので、今後の動きによってはまた評価が変わってくると考えられます。

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