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老朽化、管理費…

マンショントラブルにどう向き合うか(3/3ページ)

井上裕貴井上裕貴

2018/09/21

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一方、冒頭でご紹介したように、居住者の高齢化が進み、区分所有者全員が多額の費用を負担することが困難なマンションが増え、マンション及びその敷地を売却し、売却代金の分配を受けることを望む高齢者も増えていくものと思える。

最後に日常のマンション管理で生じる管理費等に対する対策について説明しておこう。

実は管理費等を滞納している居住者を放置しておくと、5年間で消滅時効が成立してしまう。そのため日常の管理を管理会社に委託しておらず、債権回収に不慣れな管理組合の場合は、早期に弁護士に依頼するなどして交渉を開始し、訴訟を提起し、強制執行をする必要がある。また、その際、滞納者の区分所有権の剥奪のため、区分所有法59条の競売請求をする方法も採り得る。

なお、弁護士費用については、管理規約に条項を入れておくことで、滞納者に負担させることが可能となっている。

以上のように、マンションには居住者の高齢化及びマンション自体の老朽化が進む一方、日常生活のなかでも大小のトラブルを抱えている。これは様々な価値観を有する人間が一棟の建物に居住するというマンションの性質上やむを得ないことといえる。トラブルが深刻化する前に、早期に弁護士などの専門家を交えて解決を図ることが重要であり、今後はこうしたマンションに纏わる問題は増えていくことが予想される。

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この記事を書いた人

弁護士

弁護士。1976年生まれ、東京都出身。 明治高校、明治大学、獨協法科大学院 卒業/都内法律事務所を経て、佐久間法律事務所所属。取り扱い案件は、保険法関係、知的財産関係、介護相続関係など。モットーは「トラブルの火種は放置せずに事前対策と早期対応」

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