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老朽化、管理費…

マンショントラブルにどう向き合うか(2/3ページ)

井上裕貴井上裕貴

2018/09/21

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マンションの老朽化への対策としては、①大規模修繕工事を行う、②建て替える、③マンション及びその敷地を売却する、という3つの方法がある。

① 大規模修繕工事について
まず、大規模修繕工事を選択する場合、大規模修繕工事は、一般に「共用部分の変更」に該当するところ、大規模修繕工事で「形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」であれば普通決議によって行うことができる。しかし、それ以外のものは特別決議となり、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議が必要となる(区分所有法17条1項)。

この「形状又は効用の著しい変更」というのは、変更を加える場所、範囲、態様、程度などを総合的に勘案して個別に判断する必要があるため、専門家によるアドバイスを求めた方が良いと思われる。この大規模修繕工事に関しては、国土交通省から、「改修によるマンション再生手法に関するマニュアル」が公表されている。

② 建替えについて

次に、建替えを選択する場合、説明会を実施し、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数による建替え決議が必要となる(区分所有法62条1項。)建替える場合、様々な手続を決めなければならないため、マンションの建替え等の円滑化に関する法律を活用し、法人格を有する建替組合による円滑な建替えの遂行を目指す必要がある。この建替えに関しては、国土交通省から、「マンション建替え実務マニュアル」が公表されている。

③ マンション及びその敷地の売却について
そして、3つめのマンション及びその敷地の売却を選択する場合、従来、区分所有者の全員の合意を取り付けなければ売却をすることができなかった。しかし、平成26年6月に「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」が改正され、マンション及びその敷地を売却するための特例が創設された。この特例によって、特定行政庁からマンションを除去する必要があるという認定を受けることで、区分所有者数、議決権及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上の賛成によって、マンション及びその敷地を売却することが可能となった。この売却に関しては、国土交通省から、「耐震性不足のマンションに係るマンション敷地売却ガイドライン」が公表されている。

いずれにしても、以上の3つの方法のどれを選択するかについて、大規模修繕工事、もしくは建替えにかかる費用、容積率の余剰の有無、修繕積立金の額などを考慮し、検討することになる。

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この記事を書いた人

弁護士

弁護士。1976年生まれ、東京都出身。 明治高校、明治大学、獨協法科大学院 卒業/都内法律事務所を経て、佐久間法律事務所所属。取り扱い案件は、保険法関係、知的財産関係、介護相続関係など。モットーは「トラブルの火種は放置せずに事前対策と早期対応」

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