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民泊は悪?

地方の過疎化、少子高齢化、空き家問題解決の可能性(2/3ページ)

川久保文佳川久保文佳

2018/07/03

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民泊への転用に影

しかしながら、国策として行った 住宅宿泊事業法がスムーズに機能していない状況に陥っています。

住宅宿泊事業法(民泊新法)施行に伴って、正規運用以外の物件をサイトから削除し、予約を一方的に取り消すという事態へ発展しました。通常の旅行会社であれば、賠償問題に発展する場合も多くあります。この民泊新法関連に対する一連の報道を見て、「民泊の何が根本的に問題になっているのか?」と疑問を感じている人も多いはずです。「安心安全の確保が一番の課題で、正規に登録されると、どこで住宅宿泊事業をおこなっているかが把握できる。小学校周辺など、一定の地域を除いて、受け入れが可能になる。」と、ヤミ民泊を排除する目的で設定した法令であったはずですが、「日本が好きで、リピーターになり、自国に戻って日本の価値を伝えていた方々に対して急に宿泊キャンセルをおこなう」という事態が起きています。民泊業界の産業としての未成熟さから起きたものなのか? 法令を急ぎすぎたのか? という疑問は残りますが、旅行者が多大な迷惑をこうむっています。休暇で飛行機を取り、さらに、宿泊を確保したにも関わらず、宿泊場所がないという事態は、楽しみである日本への旅行さえも悪い印象を与えました。

空き家対策は?

空き家対策へは、各自治体もようやく動き出したというところです。ある自治体では、大学教授をメンバーに加えて、月1回程度の有識者会議を行ったりしています。具体的な提案はなく、報告が主たる目的になっているようです。対策と対策の始動に数年かかりそうなスピード感です。人を地方へ流動し、地方への観光客を呼び込むことを目的として、さらには、空き家の対策への発展として、国土交通省、観光庁が日本版DMO(観光地経営組織)という仕組みを推奨しています。自治体のブランディングということで、内外の人材やノウハウを取り込みつつ、多様な関係者と連携していく仕組みです。この目的は観光による地方創生です。しかし、地元からは、DMOが地元定着ではなく、都心から来て、短期しか関わらないとして、地域にお金を落とす仕組みにはなっていないとの意見も出ています。

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この記事を書いた人

一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事

一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事 北海道函館市生まれ。現在の札幌国際大学 卒業後、リクルート住宅情報事業部にてライターを務めた後、IT企業を経て不動産関連事業へ転身。その一方で、化粧品とサプリメントのコンサルティングや専門家としてのアドバイザー務める。海外派遣先では、フィリピン・タイ・カンボジア・マレーシアなどで日本への輸出入をテーマにセミナーを行うなどマルチに活動している。

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