別荘の売却――コロナ後の「新しい生活様式」で人気が高まる別荘の見切りの付け方(2/3ページ)
田中 裕治
2020/09/17
【実例紹介】別荘地内の土地処分(栃木県那須塩原市)
今回ご紹介する実例は、栃木県那須塩原市にある別荘地の売却です。
この別荘地はご相談者のお父様が30年前に購入したもので、まったく活用することもなく、毎年固定資産税と別荘地の管理費だけがかかる土地でした。
すでにお父様は他界され、相続されたお母様も高齢で、「タダでもいいので処分してほしい」というご相談です。
売却希望の土地の資料を拝見し、お話を伺うと、その別荘地はご高齢のお母様が将来自身の認知症などにより意思能力がなくなる前にと、贈与を目的とするお子様への所有権移転登記をされていました。
また、お客様はこれまでもいくつかの不動産会社に相談されていましたが、すべての不動産会社から「売れない」と言われてしまったそうです。実際、周辺の不動産の成約事例がない物件でした。
マイナスイオンに包まれた「別荘地」
市役所で都市計画法、建築基準法、その他法令上の制限など物件調査を行ったところ、別荘地内のため、別荘地管理規定のほか森林法・自然公園法(日光国立公園の普通地域)や景観法の規制がかかるものの、特に懸念されるような問題はありませんでした。
売却物件の現地を訪れると、そこは緑に囲まれたマイナスイオンたっぷりの別荘地内の一画でした。まさに、別荘地内に複数の建物が建築されている「ザ・別荘地」といった物件です。
【物件詳細】栃木県那須塩原市/管理された別荘地内南傾斜地の一画・土地のみの管理費は年間2万4000円・権利金を支払えば温泉利用可
隣接する前面道路
物件は幅4mの道路に面した南傾斜の515㎡の土地で、境界標もすべて設置されており、懸案事項は、大きな木と大きな岩が複数あることでした。
現地の管理事務所でヒアリングを行うと、売却物件にかかる管理費などのランニングコストは、管理費が毎年2万4000円、建物を建てる際の工事負担金(20万円)がかかること、建物ができたあとは年間の管理費が4万8000円に増額されることが分かりました。また、権利金120万円を支払えば温泉が利用できること、冬場は別荘地が立入禁止になることも分かりました。
この記事を書いた人
一般社団法人全国空き家流通促進機構代表理事、株式会社リライト代表取締役
1978年神奈川県生まれ。大学卒業後大手不不動産会社に勤務したのち、買取再販売メインとする不動産会社に転職。その後、34歳で不動産会社を設立。創業以来、赤字の依頼でも地方まで出かけ、近隣住民や役所などと交渉。売れない困った不動産売却のノウハウを身につけてきた。著書に『売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ』『本当はいらない不動産をうま~く処理する!とっておき11の方法』などがある。