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BOOK Review――この1冊 『賢い子はスマホで何をしているのか』 (1/2ページ)

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『賢い子はスマホで何をしているのか』 石戸奈々子 著/日経BP社 刊/本体990円(税込)

この数年、スマートフォンをはじめとするデジタルデバイスの過度な使用は心身の健康にリスクをもたらすという警告が、医師や脳科学者らから発されている。

実際、2017年には、日本医師会と日本小児科医会が「スマホを使うほど学力が下がります」などと、スマートフォンの過度な使用を警告するポスターを作製。家庭や教育現場に衝撃を与えた。

スマートフォンやタブレットなどを子どもに与えることを「悪」とする言説が目立つ一方で、社会のデジタル化は進む。デジタルツールを使いこなす技術や、基礎的なデジタル知識なくして次世代を生き残れないことは明白だ。学齢期の子どもをもつ親たちの悩みは深い。

本書はそんな現状を憂い、「ちょっと待って。スマホは『善』か『悪』かの二元論って、変じゃないですか?」と問題提起する一冊である。

スマートフォンに子育てを丸投げすることには、著者も反対している。ただ、リスクはもちろん、学びの可能性を広げるツールとしての可能性もしっかり把握して、うまく使いこなす工夫をすることの方がよほど重要だし、何より子どものためになる――それが著者の主張だ。

著者は、プログラミングワークショップの開催などを通じ、子どもに創造的な学びの場を提供するNPO法人「CANVAS」の理事長、石戸奈々子氏。IT教育に関する政府の委員などを歴任し、義務教育におけるプログラミング教育の必修化が決定される以前から、デジタル教育の重要性を国や教育現場に訴えてきた。日本のデジタル教育の旗振り役の一人であり、なおかつ一児の母親でもある。

デジタル教育についての書籍は数多くあるが、現場の目線と母親の目線の両方をもつ著者が書いた本は、そんなに多くない。その意味でも貴重な一冊だ。

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この記事を書いた人

ウチコミ!タイムズ「BOOK Review――この1冊」担当編集

ウチコミ!タイムズ 編集部員が「これは!」という本をピックアップ。住まいや不動産に関する本はもちろんのこと、話題の書籍やマニアックなものまで、あらゆるジャンルの本を紹介していきます。今日も、そして明日も、きっといい本に出合えますように。

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