BOOK Review――この1冊 『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史』(2/2ページ)
BOOK Review 担当編集
2020/06/22
本書では、システム障害の原因をシステム担当部門の問題に終始させず、システム老朽化を放置しシステム障害のリスクを軽視してきた経営陣の責任にまで踏み込んだ議論を展開。経営陣が、自社の基幹系システムについてシステム担当者と会話を交わせる程度の知識を身に付けておくことがいかに大切か、障害発生時のみずほフィナンシャルグループの混乱ぶりを紹介しながら、指摘する。
ITの活用の効果は、業務効率改善やコスト削減という角度から語られることが多い。現状では確かに、ITへの投資が短期的かつ直接的に企業の売上に貢献することは少ないかもしれない。しかし、健全なシステムを維持し必要があれば刷新することは、企業の長期的な発展のためにどうしても必要だ。だからこそ経営戦略とIT戦略は、切り離せない。
みずほフィナンシャルグループの19年にも及ぶ苦闘の歴史が、IT化という新潮流にもまれ悩みながらも前進しようとする日本のビジネスマンに多くのことを教えてくれる。
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ウチコミ!タイムズ「BOOK Review――この1冊」担当編集
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