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コロナ禍から回復傾向か

「試される大地」はこれからが本番・北海道、震災の記憶遠ざかる浦安 —— 2022年公示地価(2/2ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2022/03/29

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震災の記憶は遠くへ? 浦安の好調

東京圏の住宅地で上昇率1位(7.7%)となっているのが、千葉県浦安市高洲3丁目の標準地だ。さらに6位(6.2%)にも浦安市今川1丁目の名前が見えている。

これらの地区は、11年前の東日本大震災の際、地盤の液状化被害が多く見られた浦安市海岸沿いの埋立地に当たっている。東京都心とのアクセスの良さなどから本来利便性は高かったものの、震災以降振るわなかった地価が、その分目立つかたちで上がってきているものと見られている。

結果、他の地点も併せて浦安市における住宅地の上昇率は今回3.3%となった。前回の0.6%から大きく数字を伸ばし、千葉県内トップとなっている。

こうした浦安の好調は、「もう海に近いところには住めない。ましてや埋め立て地など」と、声を上げる人があちこちに見られた震災時の記憶が、そろそろ遠ざかりつつある例のひとつともいえるだろう。

東京圏工業地の上位は千葉県が席巻

その浦安のある千葉県だが、東京圏の工業地の変動率上位10位までのうち、1~7位および9位を占めるという好調ぶりを見せている。なお、このうち1~5位までを市川市と船橋市の標準地が占めている。

理由は何か。答えについては、「特徴的な地価動向が見られた各地点の状況」として、国交省がコメントを添えているので以下に紹介しよう。カギとなっているのは、コロナ禍以降とりわけ動きの顕著な「物流」だ。

「消費地東京に近接する千葉県湾岸地域の工業地では、高速道路を使用せず都内にアクセスできる接近性の良好さから物流適地に対する需要が旺盛であり、東京都内との相対的割安感もあり引き合いが強く、物流適地に対する投資需要も旺盛であることから、地価の上昇が継続している」

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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