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投資物件を買う際は、焦って買うのではなく、いま一度立ち止まって考える

サブリース、フルローン、フラット35で勧誘 投資用マンションの危ない勧誘の手口

大谷 昭二大谷 昭二

2022/03/16

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イメージ/©︎takasuu・123RF

20代で増加する投資用マンションの相談

国民生活センターによると、投資用マンションに関する相談が20代の若者で増加しています。投資用マンションの相談件数は全体として減少傾向にあるにもかかわらず、20代は2013年度の160件から年々増加し、2018年度(2019年2月28日時点)は405件と2.5倍になっており、平均契約購入金額も2,000万円を超えて推移しています。

国民生活センターに寄せられた相談は、以下のようなものでした。

・投資用マンションを購入をしつこく勧誘され、事業者が怖くて契約をしてしまった
・街頭アンケートに記入したら、投資用マンションを勧誘され契約してしまった
・家賃保証があると勧誘され投資用マンションを購入したが、赤字になっている
・事業者に指示されて虚偽申告し、ローン等を組んだが支払えない



出典/

ブローカーが言葉巧みに囁く甘い言葉とは?

その手口は、まず、ブローカー(チャネラー)が多くの投資不動産コンサルタントなどに、「投資意欲のある人を紹介してくれませんか、紹介料をお支払いします」と声をかけることがはじまりのようです。

そして、紹介された人には「あなたには、良い物件を紹介できます。ただ良い物件なので買いたいという希望者が何人もいますので、決断は早めにお願いします」と言って、用意した事業計画書を提示。物件を探している人にとってみれば、「とりあえず、収支を見てみようか」という軽い気持ちで「話だけでも」ということになり、話がどんどん進んでしまうという。

そこでブローカーは2つの殺し文句で籠絡するのです。その最初の言葉は――。

「あなたは属性が良い。一流企業に勤めているので、フルローンでこの物件が購入できます。リスクはほとんどありませんよ」

そして、こう付け加えます。

「弊社が家賃保証します。それだけいい物件だということです」

具体的な事例をご紹介しましょう。

東京都のある病院の内科医が上司からの勧めもあり、トータルで8件のワンルームマンションを購入したというものです。この医師のケースでは、「確定申告で赤字物件は調整で所得税の減税になる」と説明され、購入に踏み切ったといいます。結局、月々の支払いが滞り、地方病院でバイトをする羽目になりました。

こうしたケースでは投資物件でありがちな、一度も物件を現地で確認せず、何から何まですべてブローカー任せ。さらにあきれたことに病院の上司と、ブローカーが組んでいたようです。

危ない投資話を見分けるブローカーの不審な言動

こうした勧誘のターゲットになっているのは、20~40代の独身男性で、年収300万~500万円台の会社員です。それぞれ別のブローカーや不動産業者から、「老後の備えになる」などと誘われ、窓口となる金融機関に「居住用」と偽って融資を引き出していました。その際、審査を通りやすくするため、予め住民票を移し、源泉徴収票などを改ざんし、収入を水増ししていた事例もありました。

購入物件は、築20年以上のマンションなどで、融資額は2000万円~3000万円台。しかし、周辺地域では類似物件が半値前後で売られており、不動産業者が相場とかけ離れた高値で売って、多額の利益を得ていた疑いが強く持たれています。ちょっとインターネットで価格などの物件情報を調べればわかることですが、その作業も行っていなかったようです。

そもそもフラット35は、自ら居住するための住宅取得に対し、住宅金融支援機構と提携した民間金融機関が融資するものです。つまり、物件投資は融資条件から外れているのですが、当初から投資目的で融資を画策したブローカーにより、不正融資が行われていました。住宅金融支援機構は、不正の疑いのある113件について調査や借り手への面談を進めています。業界内ではこうした不正行為は数千件以上あると言われています。

実際、私が理事長を務めるNPO法人日本住宅性能検査協会相談室が相談者から聞き取りした内容では、通常の不動産取引とは違い、疑念を生じさせる話の相談が寄せられています。

勧誘された際、相談者は以下のような共通点がありました。

【購入者の知識不足】
・初めての物件購入だった
・購入物件は契約前に現地に行き、場所・環境等を確認しなかった

【販売業者の不自然な言動】
・不動産業者は、資産形成の話を良くしていた
・重要事項説明で賃貸の件や、サブリース等の説明があった
・家賃の振り込みは融資銀行の口座に行うように言われた
・売買契約は、不動産業者の事務所ではなく喫茶店等で行った
・売買契約時、売主や司法書士の同席はなかった
・売買契約時に、銀行の営業担当者が立ち会っていた
・銀行からフラット35以外にフリーローン等の説明があった
・本人はフラット35であるとの説明を受けていたが、実際は普通の住宅ローンだった

【明らかな不正行為】
・不動産業者からフラット35であるので賃貸に出しても問題ないと言われた
・不動産業者に、年収を水増しするように言われた

何でもありサブリース管理会社の社長が「夜逃げ」でドロン

平成27年12月、借り上げ賃料を大家に未払いのまま、岡山市のとある社長の消息が途絶えました。この会社の管理戸数は約4500件、市内だと業界5番の指に入る規模です。積極的にサブリース(家賃保証サービス)を展開し、急拡大をしてきましたが、資金繰りが行き詰まったのか、当面の資金集めのために5万円の家賃の部屋を3万円で契約しているケースもあるようでした。

また、7年ほど前にも、サブリース物件が数千戸規模で一気に解約になったと地元で噂になっていました。こうした手口は繰り返されていました。

景気が悪くなると財務基盤の弱い会社は、このような「なんでもあり」の事態になる可能性もあり、空き家でも家賃を受け取れるからといった言葉で、サブリース管理会社を選択されるようです。

一概には言えませんが、スルガ銀行の事案でもあったように、こうした危ない業者(ブローカー)の宅建免許番号は「○○○県知事(1)第000000」の数字が(1)ということが多く、急遽、設立したように思える会社で、一定期間が過ぎると、雲隠れし、数年後にまた新会社を設立するし、同様の手口で、ビジネスをしているようです。

会社に勤める一般投資家が不動産投資する目的の多くは「賃貸マンションのオーナーになり、将来の安心を得る」ことにあります。その動機は「家族のため」「老後の安心」といったことで、そこを言葉巧みに付け込まれてしまうようです。そして、業者から「あなたは属性がよいから、自己資金なしでも融資が受けられる」とおだてられ、物件を見ずに買ってしまうのです。

相手が言葉巧みで……と言えば、その通りですが、数千万円の投資(買い物)である以上、家族や第三者的な専門家に相談する、自分の目で物件を見る、物件の周辺を実際に歩いてどんな町で、周辺の物件の物件相場や家賃相場を調べるなど、投資物件を買う際は、焦って買うのではなく、いま一度立ち止まって考えることが必要です。




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この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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