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マンション管理組合の活動に無関心な人たち

あなたの資産が蝕まれる――理事任せ、管理会社への丸投げ、総会委任状の問題点(2/3ページ)

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管理会社に丸投げの落とし穴

次にマンションの今後の価値をゆだねることにもつながる管理会社の業務や、担当者の問題点を考えてみよう。

ある大手の管理会社は、全てのマンションを標準的に扱いたいためか、なんでも管理規約に盛り込もうと総会議案のなかに、そうした条項の改正、追加を入れたがる傾向がある。このような細かい条項変更は管理会社主導の理事会はもとより、そうでない理事会でもそこに気が付くことは難しい。

【参考記事】管理会社が管理を拒絶 分譲マンションで起きている「破綻」とその理由

マンション管理規約は、マンション管理の憲法のようなもので、共用部分の範囲やその使用法、区分所有者の責務、理事会の権限、総会、会計など管理組合運営上の大原則が定めているものだ。

だから、細かいルールなどは細則にしたり、総会や理事会で承認したりする、管理会社のサービス内容については管理委託契約などに含めればよい。それをマンション管理規約に盛り込む必要はないのだ。

都内のある区で大手企業が社宅として一部(数十戸)を保有するマンションでは、総会前になると、財閥系のマンション管理会社の担当者が「総会では何もおっしゃらないで下さい」と(その企業の総務担当者や居住している社員らに)くぎを刺すそうだ。過去1年の決算と次年度の予算を審議する唯一の総会で質問されては困ることがあるのではないかと疑いたくなる話だ。

管理会社から派遣される担当社員のなかには、明らかに管理会社本社で作成したものをコピペしただけの資料を出してきて、個別マンションの事情を考慮していないという資料を出してくる社員もいるという。

一見してお粗末な議案であっても管理会社に「丸投げ」の管理組合の理事会では、判断ができず、問題のある議案でも大多数の“白紙委任状”によって承認してしまうこともしばしばあるというのだ。

総会資料――ここだけはチェックしておく!

そもそも管理会社の担当者のなかには、何年もそのマンションを担当しているのに、そのマンションの管理規約すら読んでいない者もいる。つまり、大企業系列とはいえ、管理会社を信頼し過ぎてはいけない。

その担当者が会社(の上司)に向いているのか、担当するマンションのほうを向いているのかを見極め、理事会の意向が反映されているのか、一般住民の目線も大事にしているか、総会を通じてチェックしておくことが大切だ。

具体的には、次の点を注意したい。

1)総会資料に出されている問題点がいつまでも残されていて解決されていない
2)決算報告書のなかに具体的な内容の把握できない支出がないか
3)決算報告の支出が、管理費から出すべきものか、修繕費から出すべきものかが不明確
4)管理委託契約や管理規約の変更を毎年行う、あるいは行おうと提案する
5)新規の支出をともなう提案を理事会の承認だけで進めようとする
6)区分所有者の意見などが出ていても、採決を急ごうとする
7)重要議案を説明不足にして、区分所有者の誤解を誘発するような表現はないか

問題は管理会社だけでなく、区分所有者にもあり

一方、問題は管理会社だけではない。区分所有者や代表となる理事会にも問題はある。

それはなんでもかんでも管理会社に任せにする姿勢と無関心だ。

たとえば、管理報告書や区分所有者に配布する文書などは、事前に管理会社から理事長や理事に内容確認を求められる。しかし、何も言わずそのままスルーしてしまう姿勢で、管理会社からすれば細かく見ているのか、見ていないか分かりかねる理事会であれば、好き放題にされるのは当然だ。

そもそも分譲マンションは、購入した時点で区分所有者は自動的に管理組合員となるのだが、そうした原則にも関心がなく、理事になってはじめて「管理会社」と「管理組合」の違いを知ることとなるものも少なくない。なかには知識不足から、「自分は管理組合に加入した覚えはない」などと言い出す人もいる。

区分所有法は、はっきりと「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体(管理組合)を構成し」と規定されている。つまり、全ての区分所有者がその意思に関わらず管理組合員で、区分所有者全員が協力して共有資産の維持管理を行う義務を負っている。

しかし、誰かがやってくれるだろうと無関心な区分所有者が多すぎるのが実態だ。マンションは区分所有者共有の資産で、それを守るには誰もがその義務を負うのだ。

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この記事を書いた人

都市開発・不動産、再開発等に関係するプロフェッショナルの集まり。主に東京の湾岸エリアについてフィールドワークを重ねているが、全国各地のほか、アジア・欧米の状況についても明るい。

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