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敷金と保証金、申込証拠金と手付金…秋の夜長に考える「似て非なる業界用語」のあれこれ(1/4ページ)

南村 忠敬南村 忠敬

2021/10/16

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イメージ/©︎takadahiroto・123RF

中秋の日曜日。日差しはまだ強く、夏の名残が秋の風と見事なコラボを見せている、とある市民公園で、母娘の話し声が運ばれてきた。

「ママぁ、、この木は何ていうの?」

「これは木じゃないよ。ススキ、うーん、草かな?」

まあ、なんてのどやかな昼下がり。毎日の疲れも和むような微笑ましいシーンに心も緩む……かと思いきや、植え込みになびくその姿に視線を移した途端、拙者の脳が反応する。側頭葉で認識した「ススキ」の音と、後頭葉に映し出されたその「ススキ」の画像情報が、老朽化一歩手前の大脳を大いに刺激してくれた。

(心の声)「お母さん、それはススキではありません。たぶん荻(オギ:注ハギではありません)です……。まあ、オギでもススキでもどっちでも良いと言われるかもですが、ススキとオギは別物です」

ススキに似た植物と言えば、それ以外に葦(ヨシ、アシ)、萱(茅:カヤ)などが有名であるが、みなイネ科の植物であり、親戚みたいなもの。ただし、カヤという種は存在せず、日本家屋の屋根材として重宝された多年草の総称らしく、ススキもその中に含まれるそうだ。

不動産業界にもある混同しやすい用語

我々の業界でも、似て非なるものはけっこうある。

その1 敷金と保証金

どちらも賃料その他賃借人の債務を担保するために家主に預け入れる金銭の意味だが、現在では、どうも住居系には「敷金」、事業系には「保証金」という風に使い分けがされているようだ(ただし、これも地域性がある)。

敷金のそもそもの語源を調べてみると、「敷≒しく(方言では“ひく”とも発する)お金」という使い方から来ているようで、江戸時代前期、浮世草子の昼夜用心記(1707年)の文中に、女が嫁ぐ先への持参金を指す意味で、「残る百両を敷て道場か医者か、兎角身楽なる方へかたづきたきねがひ…」と書かれている。

一方、賃貸不動産の保証金的名目で使われ始めた「敷」は、江戸幕府が本格的になるまで、主に関西地方が日本の中心であり、銀本位制であったため、「敷銀(しきがね)」の表現で同じく婚姻の持参金や、借家・借地の保証金の意味で使われたようである(出典/精選日本国語大辞典)。


用語も深堀りして調べてみると面白い/©︎suyujung・123RF

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この記事を書いた人

第一住建株式会社 代表取締役社長/公益社団法人全日本不動産協会・公益社団法人不動産保証協会・一般社団法人全国不動産協会 理事

大学卒業後、大手不動産会社勤務。営業として年間売上高230億円のトップセールスを記録。1991年第一住建株式会社を設立し代表取締役に就任。1997年から我が国不動産流通システムの根幹を成す指定流通機構(レインズ)のシステム構築や不動産業の高度情報化に関する事業を担当。また、所属協会の国際交流部門の担当として、全米リアルター協会(NAR)や中華民国不動産商業同業公会全国聯合会をはじめ、各国の不動産関連団体との渉外責任者を歴任。国土交通省不動産総合データベース構築検討委員会委員、神戸市空家等対策計画作成協議会委員、神戸市空家活用中古住宅市場活性化プロジェクトメンバー、神戸市すまいまちづくり公社空家空地専門相談員、宅地建物取引士法定講習認定講師、不動産保証協会法定研修会講師の他、民間企業からの不動産情報関連における講演依頼も多数手がけている。2017年兵庫県知事まちづくり功労表彰、2018年国土交通大臣表彰受賞・2020年秋の黄綬褒章受章。

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