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今日もどこかの街で美食探訪 ねこやま大吉のグルメ狩人

魅惑都市福岡で食す『もつ焼きのくらり庵』(早良区)と『屋台まみちゃん』(中央区)

ねこやま大吉ねこやま大吉

2022/02/03

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愛宕神社 博多湾、福岡市全体が見える市民憩いの場でもある 写真/ねこやま大吉

コンパクトで便利 着実に人口が増える福岡

全国20政令指定都市の中でもトップを誇る福岡市。第21回国勢調査によれば人口は5年前の調査から7万4680人増え、4.9%増の161万3361人となっている。これは太宰府市に相当する人口が増えた計算である。

経済発展も顕著であり、福岡市内では「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」を掲げ博多駅・天神エリアの大規模再開発が進められている。市営地下鉄も空港線・箱崎線・七隈線が走り、更に2022年開業予定の七隈線延伸事業「天神南~博多駅営業キロ1.6㎞」が開通すれば西エリア(早良区・西区)発展へ貢献する。

ちなみに政令都市人口増加率2位は川崎市、3位大阪市、4位さいたま市、5位横浜市と並ぶ。堂々1位の福岡には人を呼び込む力がある。

【参考記事】全力都市 福岡! その成長の理由を探る

 

福岡の中心地「天神」。菅原道真公の別名は「天神様」。その道真公を祀る水鏡天満宮がその名の由来となっていると言われている。ここ天神を中心に、福岡は東西南で発展し、北は豊富な水産資源育む博多湾である。国内・国際線が離発着する福岡空港、大都市圏から乗り入れる新幹線博多駅、ともに天神まで地下鉄で約10分少々と、このような街は全国見渡しても福岡だけではないだろうか。


水鏡天満宮

フクリパ(21年10月)のアンケート調査によると、福岡に住みたいとした非移住者は「交通利便性の高さ」「物価の安さ」「飲食店が充実していて食事がおいしい」「以前住んでいて住みやすかった」と回答している。また福岡在住者では「福岡市が好き」という市民の割合は97.7%。「福岡市は住みやすい」「福岡市に住み続けたい」は92.6%の市民が「はい」と回答しており、福岡市民の満足度は極めて高いようである。

コンパクトシティである福岡市は、暮らしやすい住環境に加え、交通利便性にも優れた都市なのである。


渡辺通り4丁目

とにかく安くて美味い B級グルメ天国 

「博多旨いもの」といえば焼鳥にラーメン、うどんなど、B級ソウルフードといえばそれまでだが、とにかく美味しくて安いのである。都道府県別統計サイトのとどラン(21年8月時点)で福岡市のこれらのジャンルの店を調べると以下のような数値であることが分かる。

 

焼鳥屋 1412軒/10万人あたり27.48軒(全国2位)
ラーメン屋 962軒/10万人あたり18.72軒(全国8位)
うどん屋 65軒/10万人あたり14.89軒(全国6位)
お好み焼屋 370軒/10万人あたり7.20軒(全国6位)

ほかにも20年7月の福岡市経済観光文化局の調査では、博多屋台は102軒と日本の屋台の約40%が集中しているという。

経済もさることながら食文化も独自に発展してきているのがうかがえる。ここに博多湾から海の恵み、新鮮な魚介が加われば福岡に悪いイメージは付きにくいはずだ。

【参考記事】西区姪の浜(福岡市)玄海灘の魚とどんたく巻き 西の隠れた名店「寿司割烹 たつき」

地元人推奨『もつ焼のくらり庵』


※取材は2021年11月中旬に実施

仕事も早めに終わり次の現場まで時間があるので、地元の人に「ここ行かんば!!」と紹介された店に立ち寄る。ここは住宅街、どこにその店があるのか確かめながら駅から歩くこと3分、「もつ焼のくらり庵」に着く。福岡でもつ焼きとは珍しいと思いながら暖簾をくぐる。テレビもラジオもBGMは一切なし。すでに何人かの常連さんが楽しそうに酒盛りをしている。女将が一人、カウンター越しの厨房に立ち手際よく仕事をこなしているなか、カウンターに座り店内を見渡す。



とても掃除が行き届いていて奇麗ではないか。女将の気持ちが表れている。

調理場を見れば、全ての料理を一人で無駄なくできるよう作られている。おでん鍋・鉄板・ラーメン寸胴・スープ寸胴、そして湯の寸胴、後ろに食器棚。女将を中心に360度回転、1、2歩動けばほぼどこにでも手が届くって寸法になっている。屋台が屋内に入ったような感覚になる。

「んっ? 串焼き台がない」と心のなかで呟きながらも、まずは喉を潤す「魔法の星」を流し込む。串の焼台がないのにもつ焼きとはなんぞや? まずは店の看板にもあるもつ焼きを注文する。おっと、串焼きじゃない! 冷蔵庫から鷲掴みされたもつが丸い鉄板にのる。女将の年季の入った腕さばきがお見事、もつが鉄板の上で踊っているではないか! 一般的に関東のもつ焼きはいろんな種類の部位を串焼きにするが、くらり庵は部位一種のみを鉄板で焼くのだ。確かに福岡でもつ焼屋(やきとん屋)は見ない。ただ、焼かれているもつは1人前の量ではない気もするが。

 

「もつの味噌鉄板焼き」。下処理がしっかりできているので、臭みなどまったくなく、プルンプルンの食感と肉本来の甘み、甘辛い味噌、ネギとの相性が抜群である。ご飯があるなら頼みたくなりそうな一品である。星を飲み干しお湯割に鞍替え。目の前の蓋が開き湯煙の中から割り用のお湯がでてくる。折角の九州、迷わず「芋」だ。

おでんもタネが豊富。天ぷら・巾着・キャベツロール・厚揚げ・たまご、牛スジなど。濃いぃ出汁はどのタネにも色を付ける。次の打ち合わせに行かねばならない時間になり、急いで女将にラーメンを作ってもらい替玉を食することなく店を後にする。次回はゆっくり楽しみたいものである。

次ページ ▶︎ | 福岡を満喫するなら屋台ははずせない 『屋台まみちゃん』

女将との会話も楽しみのひとつ『屋台まみちゃん』

仕事も無事に終わり天神を散策する。

ここは天神のど真ん中。渡辺通りと昭和通りの交差点近くに煌々と照らされる一角がある。そう、102軒ある屋台のうちの5屋台群。どこも満席でにぎわっているが、美味しそうな豚骨の匂いと香ばしい焼の匂いに誘われ、「まみちゃん」の分厚いビニールの暖簾(?)ドア(?)をくぐる。〇〇ちゃんと屋号になっている店は、おかあちゃん的存在、地元愛溢れる女将がやっているのがほとんどだ(たまにマッチョなおじさんもいる)。くぐればすぐに着席だ。

これぞザ・屋台! 女将の威勢のいい声が響き渡る! 「何呑むとね?」「何軒目ね?」「大根丁度うまかばい!」「餃子は食べりーね!」「どっから来たとね?」初対面一元に機関銃のように打ちまくる。そして「うちは酔っ払ったら帰ってもらうけんね!」ちゃんとルール(女将と客が楽しく過ごす最低限のマナー)を説明してくれる。

まずは乾いた喉を潤す首の長い麒麟さんを流し込み、あっつあつのおでん鍋から大根と、ここに座ったら食べたほうがいいと隣のサラリーマンに勧められたきくらげ天ぷらをもらう。まあここまでよくも浸かっていたか大根! 女将が「入り過ぎでのぼせとーかも知れん」と言う。

箸を通すと溢れんばかりの出汁が流れ出す。ちょっと甘辛めの出汁に辛子を少々のせ、口に運べば大根の旨味はそのままに、ほかのタネの旨味が凝縮された出汁が追っかけてくる。これぞ博多屋台の大根だ。さつま揚げにこれでもかときくらげが入っている。柔らかいさつま揚げを噛みしめると、歯ごたえのいいきくらげの食感が楽しい。麒麟も首を長くしてコップを狙っている。

「絶対食べりーね!」と言われたニラ100%の餃子を注文する。待つこと5分。焼かれて熱かったのか出てきた餃子は暴れ放題、博多ならではの一口餃子の祭りを見た感じがする。皮はパリッと焦げる直前の寸止め、中の餡はふっくらニラの食感と味が残っている。ポン酢醤油に九州ならではの柚子胡椒をのせ一気に完食。しかし何度食してもこの柚子胡椒だけはしびれるほど辛い……。

ふと時計を見れば滞在1時間半強。女将との会話もまだまだこれからなのだが、麒麟も気付けば4頭目。最初のルールを思い出し〆の豚骨ラーメンをバリカタで注文する。黄金色に輝き、ちょっと豚骨臭のする屋台の博多ラーメン。好き嫌い賛否両論になるが、小生はこのラーメンが好きである。

一口サイズの焼豚、きくらげ、博多万能ねぎ、白ごま、紅ショウガ、そして真っ白な細い麺。シンプルなラーメンは味のごまかしがきかない。濃厚そうに見え実はさっぱりスープに、小さいが旨味凝縮食べ応えのある焼豚、途中口直ししてくれる紅ショウガたちが替玉を誘ってくる。ソフトバンクホークスクローザー森的な一投! 博多の麺は香りが高く微妙な甘さを感じるものである。替玉を平らげ「まみちゃん」を後にする。

明日は羽田行き一番機だ。

博多湾から眺める福岡市。どんなに街が新しくなっていこうと、変わらないもの、変えてはいけないもの。それは「博多っ子」気質と「博多の旨いもの」だ。

また来るけんね!!

今回お邪魔したおいしいお店
『もつ焼きのくらり庵』
福岡県福岡市早良区室見4-1-2
『屋台まみちゃん』
福岡県福岡市中央区天神2-13-1 福岡銀行本店昭和通り側 

▶︎「今日もどこかの街で美食探訪 ねこやま大吉のグルメ狩人」 ほかのおいしいお店はこちらから

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この記事を書いた人

編集者・ライター

長年出版業界に従事し、グルメからファッション、ペットまで幅広いジャンルの雑誌を手掛ける。全国地域活性事業の一環でご当地グルメを発掘中。趣味は街ネタ散歩とご当地食べ歩き。現在、猫の快適部屋を目指し日々こつこつ猫部屋を制作。mono MAGAZINE webにてキッチン家電取材中。https://www.monomagazine.com/author/w-31nekoyama/

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